中国政府の「テコ入れ」景気刺激策…経済回復なるか
2022年1~3月期の中国GDP成長率は前年同期比4.8%となり、昨年10~12月期の4.0%から上昇し、堅調な経済成長を示していました。
しかし、その後のロックダウンにより、足元では低調な経済活動が報告されています。中国当局は2022年の経済成長目標率を約5.5%と設定しましたが、現在の状況を考慮するとこの目標達成は難しく、追加的な景気刺激策が期待されています。
インフラ建設の強化や不動産セクターへの制限緩和、自動車補助金制度の実施等、経済支援政策がこれまでに発表されました。また、中国人民銀行も預金準備率や住宅ローン金利の引き下げを実施し、金融機関に対して不動産業者の債権購入や資金提供を指示する等、経済減速に対応しています。
地政学的リスクは依然として注視が必要な分野です。米中の戦略的競争は今後も続くと思われます。また、ロシアのウクライナ侵攻は国際関係を複雑化させました。今後、ロシアは中国との関係を強めると思われますが、米中関係がさらに悪化するリスクがあります。
中国はこれまで弊社が敬遠してきた市場であり、引き続き、様々な不透明感を伴っています。変化が起きるタイミングは直に訪れると考えられますが、その時期を予測することは困難です。
中国株式市場のバリュエーションは低い水準まで低下しつつありますが、歴史的にはそれほど魅力的だとはいえません。また、景気刺激策が実施されているものの、ゼロコロナ政策が続く期間においてはその有効性が薄れると思われます。
しかし、ゼロコロナ政策が撤廃された場合、現行の景気刺激策によって中国経済が回復基調に転じうると考えられます。今後の政治動向やポストコロナ時代の正常化の可能性について注視していきます。
福澤 基哉
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
執行役員/プロダクト統括
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】