ゼロコロナ政策により停滞する中国経済
【本記事のポイント】
・中国は足元、国内はゼロコロナ政策の影響で景気が停滞、海外でも金融引き締めや地政学的リスクがあるなど、まさに「内憂外患」の状況にあり、株式市場も人民元も下落が続いている。
・足元のゼロコロナ政策は、現在の低いワクチン接種率や年末に控える全人代、冬季に蔓延しやすいコロナの性質を考慮すると、当面完全撤廃することは難しいだろう。
・その一方で、中国政府は、インフラ建設の強化や不動産セクターの規制緩和、自動車補助金制度の実施など、大規模な経済支援策を着々と打っている。中国人民銀行も、預金準備率の引き下げや住宅ローン金利の引き下げを実施するなど、緩和策を強めている。
・今後のゼロコロナ政策が撤廃・緩和された場合には、これらの各種景気刺激策が景気に浸潤し、中国経済が回復に転じうるのではないか、と考えており、その正常化や転換点を見定めていく必要があると考える。
中国の経済成長は鈍化しています。一部の先行指標は6~9ヵ月後に中国の経済活動が活発化することを示唆していますが、ゼロコロナ政策によって2022年の中国経済見通しが悪化しているのが実情です。
地政学的リスクは依然として残っており、世界各国の利上げに伴う経済活動の減速への懸念から貿易見通しは悪化しています。これらの要因により、中国株式市場は軟調に推移し、中国人民元安が進行しています。
しかし、他国とは異なり、中国では景気刺激策が実施されており、制限が緩和された場合、2023年に中国経済は回復基調に転じる可能性があります。業界動向調査によると投資家は中国をアンダーウェイトしている状況となっていますが、転換期が訪れているのでしょうか?
2020年、中国は新型コロナウイルス感染拡大を収束させることにいち早く成功しましたが、オミクロン株の出現により、経済見通しは再び不透明な状況になりました。政策当局は感染拡大防止に注力し、複数の都市でロックダウンを実施しました。一部地域でロックダウンが解除されたものの、その他の都市においてロックダウンが新たに実施されるリスクがあります。
ワクチンの接種状況や政治的側面、さらには季節性(新型コロナウイルスは冬季に感染者数が増加する傾向がある)を考慮すると、今年末にロックダウンを撤廃することは難しいかもしれません。習近平国家主席がゼロコロナ政策へのコミットメントを再表明したことに加え、検査施設へ多額投資が行われたことからも、当面はこの政策が継続されると思われます。
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