■条件②赤字から黒字転換が見込める=株価が大きく上昇するV字回復
業績回復株の2つ目の条件「赤字からの黒字転換」は、営業利益などが、前期は赤字で今期は黒字、または今期は赤字で来期は黒字が見込めるという意味です。
企業の収益サイクルを見ると、赤字企業は減収減益の状態です。このタイプの企業が黒字化するということは、減収増益のステップに向かうパターンと、減収増益のステップを飛ばして、いきなり増収増益の状態になるパターンが考えられます。
株価が大きく上昇するのは業績の変化率が大きい後者で、いわゆるV字回復の状態です。
投資家目線からは、赤字企業の株は安くても買いたいと思いません。株価がどこまで下落するかわからないし、最悪のケースとして倒産や上場廃止のリスクもあるからです。
一方、増収増益の企業の株はさらなる成長性が見込めるので、高くても買いたいと思います。赤字からの黒字転換、減収減益から増収増益への方向転換によって市場の評価が180度変わり、減収増益の状態にある株よりも大きなリターンが見込めるわけです。
■条件③テンバガーも狙える「景気敏感株」
3つ目の条件「景気敏感株」は、個々の企業の収益サイクルではなく、市場全体、経済全体のサイクルに関連する話です。たとえば、リーマンショックの前後から景気が悪くなり、アベノミクスによって景気がよくなるといった大きなサイクル。
このような動きに業績が左右されやすい企業の株を景気敏感株といいます。
具体的には、鉄鋼、化学、紙パルプなど素材産業の企業や、設備投資と関連性の高い工作機械メーカーなどがこのタイプに含まれます。
景気と業績が連動する背景として、たとえば、景気がよくなるとモノが売れるので、増産するための設備投資が活発になります。また、鉄鋼や化学産業は巨大な生産設備を保有しているなど固定費が高いため、景気の変動で売上が大きく振れると利益はもっと大きく振れる傾向にあります。
このように業績が大きく振れることで、株価も大きく上下に振れる循環を繰り返すことから、景気敏感株は景気循環株とも呼ばれます。
これを踏まえて現状を見渡してみると、コロナ禍によって景気は一時的に悪化しましたが、その後はすぐにもち直し、回復から上昇に向かう傾向が見られます。コロナ以前の日経平均株価が2万3000円前後、コロナショック下で1万7000円前後まで下落しましたが、そこから1年もしないうちにコロナ前の水準まで回復し、さらに3万円前後まで伸びています。
仮にコロナ禍が、バブル相場、ITバブル、アベノミクス相場のような景気拡大の局面になるとすれば、このサイクルが追い風となって業績が回復に向かう業種や業界があると考えられます。好景気で業績がよくなり、その結果として、減収から増収となったり、赤字から黒字転換したりといった変化が起きることで、株価10倍のテンバガーも十分に狙えるというのが本連載の考えです。
これらの条件に合う企業を四季報から探していくと、どのような銘柄が浮かび上がってくるのでしょうか? 次回は筆者が探し出した「業績回復株」の実例を解説します。
渡部 清二
複眼経済塾 代表取締役塾長
※本稿は株式投資をする際に参考となる情報提供を目的としています。筆者の経験、調査、分析に基づき執筆したものですが、利益を保証するものではありません。投資に関する最終決定は必ずご自身の判断で行ってください。
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