業績回復株の条件は3つ…1つでも当てはまれば狙い目
本連載では、コロナ禍でダメージを受けたかどうかにかかわらず、業績回復株を探す条件を次の3つにしました。
①減収増益
②赤字から黒字転換が見込める
③景気敏感株
3つすべてに当てはまる株ではなく、どれかに当てはまる株を狙います。
■条件①減収増益=業績向上の可能性が見える企業
まず1つ目の条件「減収増益」について。
企業の収益のサイクルを押さえておくことが大事です。
企業の収益は、企業の売上と利益の変化によって、増収増益、増収減益、減収減益、減収増益の4つに分けることができ、通常この4つを繰り返します【図表】。
増収増益は、売上高が増え、利益も増えている状態。株価は収益に合わせて上昇するとされます。
増収減益は、売上高が増加しているが、利益が減少している状態。株価は天井をつけるとされます。
減収減益は、売上高も利益も減っている状態。いわゆる業績悪化局面で、株価は下落するとされます。
減収増益は、売上高は減少しているが利益は増加する局面で、株価は大底圏とされます。
このサイクルのポイントは、売上高の変化よりも利益の変化が先行することです。
増収増益から増収減益の流れを例にとると、売上高が増えていくなかで競合が増えたり、価格競争が起こると売上高を伸ばすために広告宣伝などマーケティングコストを増やすなど、しだいに利益が伸びにくくなります。これが業績が下向き始めるサインです。株価が天井(上値の限界)となって、下落し始めます。
減収減益から減収増益の流れも見てみましょう。
減収減益は、売上高が減り、利益も減っている状態で、減収増益は、売上高は減っていますが、利益は増えている状態です。
売上が減っても、それ以上にコストを抑えれば利益は残りやすくなります。減収減益のときはほとんどの会社がコスト削減に取り組むため、事業運営の無駄が減って、効率的な経営に生まれ変わります。すると、売上が少し戻っただけでも利益が増えやすくなります。
利益が出るようになれば、新しい商品やサービスをつくり出すなどして売上を増やすチャンスも生まれますので、このような変化を通じて、減収減益だった企業は減収増益、増収増益へと向かい、株価もその流れに乗って大きく上昇していくわけです。
業績回復株はこの流れに乗りそうな株で、買うタイミングとしては減収減益か減収増益で、増収増益に向かいつつある株が候補となります。