(画像はイメージです/PIXTA)

資産家の夫が亡くなり、相続が発生。妻は、これまで通り自宅で賃貸物件の収入を得て暮らすつもりでしたが、子どもから「法定通りの遺産分割」を求められてしまいます。要求通りにすれば「住み慣れた自宅」か「収入源の賃貸物件」のいずれかを手放さなければなりません。どうしたらいいのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

遺された配偶者の生活を守る「配偶者居住権」

本件では、みなさんがわかりやすいように、配偶者居住権の評価額は、土地建物の評価額の5割として、以下説明します。

 

陽子さんが配偶者居住権を取得するとすれば、配偶者居住権は自宅の評価額の5割ということなので、5,000万円を相続するということとなります。

 

そうなれば、陽子さんは、まだ5,000万円の遺産を相続することが可能となります。

 

したがって、マンションの2分の1がちょうど5,000万円なので、マンションの持分2分の1を相続することが可能となります。

 

本件では、太郎さんがマンションは相続したいといっていますが、太郎さんの相続分は4分の1で5,000万円なので、マンション全部を相続するには相続分が足りません。そこで、マンションを全部相続する場合には、陽子さんに5,000万円の代償金を支払う必要があります。

 

そこで、陽子さんは、自宅について配偶者居住権の設定を希望して自宅に住むことができる上に、残りの相続分でマンション共有持分を相続するか、代償金を受け取ることができるのです。

 

したがって、選択肢③が正解となります。

 

選択肢②は、陽子さんは、生活費が欲しいのであれば、マンションだけを相続するほかないと、一見合っているようですが、配偶者居住権を取得することにより、残りの相続分で、マンションの共有持分を相続したり、代償金を取得したりすることができるので、誤りとなります。

 

なお、5,000万円の配偶者居住権の設定された自宅は、5,000万円の制限が付いていることから、評価額は1億円から5000万円を引いた額となり、5,000万円となります。

 

そこで、この配偶者居住権付の自宅土地建物は、自宅の相続を希望する花子さんに相続させることが可能となります。

 

配偶者居住権は、配偶者の方が自宅へも住みたいし、ほかの遺産から生活費も相続したいという場合に強力な武器となります。

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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