住まいと収入源、一方をあきらめるしかない?
本件の陽子さんは、太一さんが生きている間は、自宅に住み、貸しマンションの賃料と年金で生活すればよく、預貯金があまりなくても生活に余裕があったはずなのに、夫の太一さんが亡くなった途端に、相続分が2分の1であるため自宅かマンションのどちらか選ばなければならないという状況に追い込まれているようです。
しかし、このような配偶者を救うためにできたのが、配偶者居住権の制度です。
相続法の改正により認められました。
改正前には、自宅の居住権を取得するには、自宅の土地建物を全部相続する必要がありました。そうなると、自宅が遺産全体の2分の1以上を占めると、配偶者は相続分を使い切ってしまいますし、2分の1を越える場合は、自宅に住むためには他の相続人に代償金を支払わなければならないということとなり、自宅に住むことを諦めざるを得ないケースもありました。
そこで、改正相続法では、配偶者は被相続人が亡くなるまでその不動産に居住していた場合、所有権を取得しなくても、配偶者居住権を取得することにより、亡くなるまで住めるようにしたのです。
配偶者居住権の評価額は、配偶者の年齢にもよりますが、土地建物の価格の4割から6割くらいとなることが多く、所有権(10割)の評価額と比べると安くなるため、その分、ほかの資産を相続できることとなるということなのです。
以上を前提に、本件のケースを検討していきましょう。
太一さんの遺産は、貸しマンション(時価1億円相当)、自宅(時価1億円相当)ということですから、合計で2億円ということとなります。
相続人は、妻である陽子さん、長男太郎さん、長女花子さんの3人で、法定相続分は、陽子さん2分の1、太郎さん4分の1、花子さん4分の1となりますから、遺産で取得する額は、それぞれ、陽子さん1億円、太郎さん5,000万円、花子さん5,000万円ということとなります。
陽子さんが、自宅に住み続けたいとして、自宅の土地建物を相続することとすれば、陽子さんは1億円を相続したことになることから、ほかの遺産は相続することとできなくなります。
したがって、陽子さんは、自宅に住みたいのであれば自宅を相続して、年金で暮らすほかないとする選択肢①は合っていそうです。
しかし、先ほど説明したとおり、自宅に居住するためには、所有権を取得しなくても配偶者居住権を設定すれば居住することができます。
そこで、選択肢①は誤りとなります。
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