(※画像はイメージです/PIXTA)

大多数の子どもが図や表のグラフに苦手意識を持っています。実はそういった子どもたちの多くが問題文の最初の3行程度の「前提文」を読まない子どもたちです。どうして彼らは「読まない」のでしょうか。プロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康氏が著書『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

前提条件を全部読む

■読めば解けることを実感させる

 

たった3行の問題文(前提文)を読まずに「設問1」から解こうとする子がたくさんいます。たとえば、図表1のような算数の問題。問題文には「行きは北か東のみ、帰りは南か西のみ」といった前提条件が書かれていますが、図には記されていません。

 

出所:西村則康著『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)より
[図表1]入試問題 2018年海城中学校 算数 出所:西村則康著『難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)より

 

たったの3行を読まないのはなぜか。それは、繰り返しになりますが、「速くやらなきゃ」と焦っているからです。また、塾の勉強に慣れてくると、難しい問題を次々と解きたくなってくるのも理由の1つです。「スピーディー学習」をしているとそのスピードのままこなしていきたくなるのでしょう。問題文を読むのが面倒に感じられるのです。

 

ところが、解けそうな気がして問題に手をつけたものの、与えられた条件を使っていないのですから途中で詰まって困ることになります。ここで、だいたい2つのパターンに分かれます。

 

1つは、過去に解いて正解できた問題を思い出し、それに当てはめて「きっとこれでいける」と強引に突き進んでしまうパターンです。それでも、たくさんの問題を解いてきた経験があると、運よく正解できることもあります。しかし、読む作法が身についていないと、必ずどこかで大きな壁にぶつかってしまいます。

 

もう1つは、「このままでは解けない」と気づき、「何か前提条件があったのでは…?」と、あらためて問題文を読み直すパターンです。ただし、自分で気づいて読み直すことができるのは、かなりできのいい子です。

 

でも、「このままでは解けない」と気づいて子どもがうんうん唸っているときに、「今、考えた中で、問題文に書いてあったことでまだ使ってない条件がないか探してごらん」と言ってあげるだけで、子どもは解けるようになります。解けなくて困った経験をしたあとに、「そうか!」と問題文を読む大切さに気づいた子どもは、もう同じ間違いはしなくなります。

 

最初は親御さんのフォローが必要ですが、そのようにして「読む作法」が身についたら、「スピーディー&スロー学習」もラクラク実践でき、「スロー学習」の効果がさらに得られるようになります。

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※本連載は、西村則康氏の著書『 難関校合格のすごい勉強習慣』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

西村式中学受験小4~小6で差をつける 難関校合格のすごい勉強習慣 受かる子・受からない子の違いは「スピーディー&スロー」学習法

西村式中学受験小4~小6で差をつける 難関校合格のすごい勉強習慣 受かる子・受からない子の違いは「スピーディー&スロー」学習法

西村 則康

日本能率協会マネジメントセンター

難関校が求める「難問に向き合ったときでも試行錯誤できる子」「自分の頭で考えられる子」を育てる。スピーディー学習、基本的な処理能力を身につけるトレーニング、スロー学習、「いつもどおり」の安定した行動をとらせるため…

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