(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

中国新築不動産価格は鈍化傾向がつづく

16日、中国国家統計局が発表した5月の中国新築不動産価格(主要70都市)は前年比0.1%減と2015年9月以来のマイナス成長となった。前月比ベースでは0.17%減と9か月連続の下落である。

 

中国では、新型コロナウイルス対策の厳しい規制が影響し、需要は弱いままで続いている。主要70都市の内訳は、43都市(4月47都市)が前月比ベースで低下、前年比ベースでは46都市(4月39都市)が減少した。

 

ただ、前月ベースでの下落した都市数では回復基調もみられ、需要喚起をねらった政策効果に期待がかかる。

 

 

日本の5月貿易統計を発表、赤字額は過去2番に高い水準

財務省が発表した5月貿易統計速報によると、5月の貿易収支は2兆3846億円の赤字となった。原油などの資源高や円安の影響で輸入額は前年比48.9%増の9兆6367億円と過去最高、輸出は前年比15.8%増の7兆2521億円と赤字幅は10か月連続となった。

 

当面は原油高を背景として貿易赤字の拡大は続くとみられ、円安の影響もあって輸入額の増大が赤字に直結するとみられる。

 

一方、輸出に関しては中国をはじめ全体の輸出の勢いは欠けており、中国からの輸入は通信機や衣類などが増加し同25.8%増も、輸出は0.2%減少した。新型コロナウイルスの行動制限は段階的に緩和されているも、回復には時間がかかる見方が強い。

 

多少の円安効果がっても輸出の大きな拡大は期待できず当面は資源高や円安の影響により、貿易収支の悪化が続く、厳しい環境に直面するだろう。

 

明日17日は日銀が金融政策決定会合を開催する。黒田総裁は大規模な金融緩和を維持する方針であり、タカ派のFRBとハト派の日銀のスタンスの相違が24年ぶりの円安の要因となっている。

 

なお、英イングランド銀行は、本日16日、5会合連続で利上げを実施する見込みであり、インフレ抑制のために金融政策を引締める動きは、世界的に加速している。日本だけ物価上昇圧力がないとも言い難く、そんななかで、独自路線を往く日銀の動向に注目が集まる。

 

なお、15日には日本国債先物が2013年4月以来、大幅に下落し、一時はサーキットブレーカーが発動され取引が停止された。日銀は、大量の国債買い入れにより、イールドカーブ・コントロールの上限である10年日本国債利回り0.25%を死守したが、これが持続的な政策なのかは、懐疑的な見方が海外勢には根強い。要注目である。

 

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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