急速な高齢社会化に伴い様々な健康問題が発生する現代日本。人々は介護という課題にいかに向き合うべきか。英国老年医学の母、マージョリ・ウォレンの実例をもとに解説します。

日本の老年医学への切実な課題

ウォレンは自分の考えを広く知ってもらうために、積極的に講演などの啓発運動を起こしました。米国、カナダ、オーストラリアなどには、ウォレンに賛同するものが少なくありませんでした。こうして1947年、「英国老年医学会」が設立されました。それははじめは「老年者ケア医学会」という名称でした。

 

ウォレンは1960年、不幸にして交通事故に遭い、62歳で亡くなりました。ウォレンの実績は大きく、英国老年医学の母といわれています。それはあくまで地域に根差したチーム医療が基盤にあります。

 

一方我が国の老年医学は、東京大学をはじめとする権威のもとに発展してきました。そこには老人の病気を主たる対象として、地域住民の福祉・ケア・介護という理念に欠けていたと思っています。だが急速な高齢人口の増加に伴って、介護保険の導入に迫られました。どの家庭でも養護老人や認知症の介護という切実な課題が出てきたのです。

 

ウォレンという先覚者の開いた老年医療ケアに学ぶことはまことに大きいと思っています。

 

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小澤 利男

1929年東京都生まれ。東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部老年病学教室助教授、高知医学大学(現高知大学医学部)教授、東京都老人医療センター(現東京都健康長寿医療センター)院長を歴任。

主な著者に『老年医学の先駆者たち』『老年医学と老年学』『「長生き病」を考える 老年医学の道を歩んで』『健康長寿を先人に学ぶ』などがある。

本記事は、2021年7月刊行の書籍『健康長寿の道を歩んで』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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