(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

FRBは何%の株価下落を望んでいるのか

では、いったい米連邦準備制度理事会(FRB)は、何%の株価下落を望んでいるのでしょうか。直近2回(=2000年のITバブル崩壊と2007-08年の世界金融危機)でいえば、株価はピークから約50%下落しています。

 

しかし、これらは、景気後退を伴っています。FRBもさすがに「景気後退を引き起こしたくない」と考えているでしょうから、FRBが50%もの株価下落を望んでいるとは考えられないでしょう。

 

米国の株式市場の時価総額が50%下落するということは、簡単にいえば、将来の所得やGDPに関する見通しが50%下落するということですから、さすがに大きな調整だとわかります。図表5では、「株式市場の時価総額/名目GDP比率」、いわゆるバフェット指標を提示します。

 

a
[図表5]S&P500の時価総額/名目GDP比率(≒いわゆる「バフェット指標」)
株価がピークの半分になると、バフェット指数は84%程度に低下する。
(出所)米経済分析局(BEA)、Refinitiv、フィデリティ・インスティテュート
(注)データの期間:1964年1-3月~2022年1-3月、四半期次。


ちなみに、1929年からの世界大恐慌のときの米国の名目国民総生産(GNP)はピークから約49%減少しました。2007年からの世界金融危機のときの米国の名目国内総生産(GDP)はピークから約9%減少しました。2020年からの新型コロナウイルス・パンデミックでは同約10%減少しました。

 

他方で、(弱気相場入りの目安である)株価のピークから20%下落について考えると、最近でもそれに近い下落は何度か起きており、たしかに景況感は一時的には下がるものの、20%程度の株価下落にはインフレ率を有意に押し下げるほどの持続的なインパクトはないように思えます(→言葉だけで済ませていますが、重回帰分析やベクトル自己回帰分析などの確認方法があります)。

 

a
[図表6]S&P500の直近1年の高値からの下落率株価のピークから2割程度の下落では、インフレ率を大きく押し下げるのは困難に見える。
(出所)Refinitiv、フィデリティ・インスティテュート
(注)データの期間:1992年1月1日~2022年6月11日、日次。

 

まとめると、株価下落の目安を「ピークから20%超、50%未満」と考えることができるかもしれません。ただし、過去の多くの場合では、引き締めは景気後退を招いています。

 

ですから、米国株式市場への「入り時」としては、(上記の過去108年のデータを含め)株価がピークから3割程度下落したころから、1-2年程度、複数回に分けて、買い入れを行うという方法が考えられるかもしれません。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧