「スピーディー」が悪いわけではない!
「スピーディー&スロー学習」がどのようなものなのかについて詳しくお話ししていきます。
これまでもお伝えしてきたように、中学受験には計算練習や漢字や言語暗記など、各科目の勉強を進めていくうえでベースとなる「スピーディー学習」が欠かせません。そのうえで、難関校の入試問題に太刀打ちできる実力を身につけていくための「スロー学習」がとても大切になってくるのです。
真面目に取り組もうとがんばる子どもたちの多くが、ミスばかりして成績が伸び悩む「アタフタさん」になってしまうのは、もともとの特性というよりも、日頃の学習習慣によるケースがほとんどです。
「スピーディー学習」が「アタフタ」の原因になっている面もあるのですが、決して「スピーディー学習」=よくないもの、「スロー学習」=よいもの、ということではないということをまずは知っておいていただきたいと思います。
どちらかだけで十分なのではなく、「スピーディー学習」を前提に「スロー学習」を取り入れることで、学習内容を着実に身につけ、テストでも落ち着いて実力を発揮できる「ちゃくちゃくさん」へと変わっていけます。
ちゃくちゃくさん=スピーディー学習+スロー学習
大切なことなので繰り返しますが、「スピーディー学習」と「スロー学習」が両輪となってうまく回ってこそ、前へ進んでいけるのです。
算数の計算は「スピーディー」、解き直しは「スロー」
「スピーディー学習」と「スロー学習」には、先にお話ししたとおり、次のような目的があります。
スロー学習→「いつもどおり」の安定した行動をとらせるためのトレーニング
そして、「スピーディー」と「スロー」の名のとおり、「スピーディー学習」はテキパキとこなしてほしい学習であり、「スロー学習」はじっくりと取り組んでほしい学習ということになります。
では、科目ごとに見ていきましょう。どの科目にもさまざまな種類の勉強があり、次のように「スピーディー」と「スロー」に分けられます。
算数
スピーディー 計算練習/パターン問題
スロー 問題文を読んで図を起こす/問題文を音読するかのように黙読する/間違った問題の解き直し/応用問題
国語
スピーディー 漢字練習/熟語暗記
スロー 設問をじっくり読む/大切な箇所を音読するかのように黙読
理科
スピーディー 言語暗記/パターン問題
スロー 説明ページを読む/原因と結果を論理的に理解/大切な箇所を音読するかのように黙読
社会
スピーディー 言語暗記/年号暗記/地名暗記
スロー 原因と結果を論理的に理解/大切な箇所を音読するかのように黙読
各科目の学習はこのように分類できるということを、親御さんが頭に入れておいてください。ただ、このように分類して見せても、子どもには言葉だけでは伝わりません。子どもの自主的な学びにつながるよう、どのように子どもに伝え、日常に取り入れていくのか、ご家庭での工夫が大切になってきます。