「スロー学習」で重要な読む、書く、考える
●国語→スロー 設問をじっくり読む/大切な箇所を音読するかのように黙読
●理科→スロー 説明ページを読む/原因と結果を論理的に理解/大切な箇所を音読するかのように黙読
●社会→スロー 原因と結果を論理的に理解/大切な箇所を音読するかのように黙読
4科目にわたり、「読む」「書く」「考える」の要素が含まれていることがおわかりいただけるでしょうか。合格に近づく学習習慣をつけていくためには、この3つが大きなポイントになります。実は、これこそが「はじめに」でもお話した「スロー学習」の3つの要なのです。
①問題文をじっくり読む
②自分の手を使って式や図を書く
③自分で自分に問いかけながら考える
では、この「スロー学習」の大切さをどう子どもに伝えていくのでしょうか。
凡ミスが多い子に、親御さんが「ミスしないように落ち着いて計算しなさい」「よく考えて問題を解くんだよ」などと言ったところで、効果は薄いでしょう。言えば言うほど、「一生懸命やっているのに」「うるさいなぁ、もう」と、むしろやる気をそいでしまいます。
塾の勉強についていくのが必死な子に、「焦らなくてもいいよ」などと言っても、慰めにも励みにもなりません。子どもは「じゃあ、どうすればいいの?」とかえって迷ってしまいます。
毎日の学習効果を上げていきたいとき、親御さんがお子さんに対して行うと最も効果的なのは、「どんな行動をとるとよいのか」を具体的に教えてあげることです。
たとえば、「ノートの書き方」。どのように書けば学習しやすくなるかを子ども自身が工夫できるケースはまれです。大人には簡単に思えることも、子どもにはハードルが高いことがほとんどで、そもそも「どう書けばいいのか」に気づく子は少数派なのです。
でも、「こうするといいみたいだよ」ということを親御さんから具体的に聞ければ、お子さんは試し、失敗したり、効果を実感したりしながら、新しい学習習慣を身につけていけます。
そこで、「スロー学習」を定着させていくために私が提唱しているのが、次にお話しする「スローの作法」です。
学習の基本!読む・書く・考えるの「スローの作法」
学習の基本は、「読む・書く・考える」です。基本だからこそ、これら3つは普通にできていると思われがちです。しかし、実際は違います。「スロー学習」を習慣づけていくには、その前に「スローに学習することに慣れていく段階」である「スローの作法」が必要です。
「スローの作法」には、「読むスローの作法」「書くスローの作法」「考えるスローの作法」があり、それぞれ次のようなものになります。
読む作法
①「図1」や「表1」、「三角形ABCについて」と、読んだ直後にそれを必ず見る
②算数や理科の3行程度の前提文(小問の前に書かれている説明)を読み切ってから小問を読む
③算数や理科の長い設問の「仮定(何がわかっているか)」と「結論(何を聞かれているか)」に当たる部分は、頭の中で音読するように黙読する
④国語や社会も設問の中の大切な言葉や文を音読するように黙読する
書く作法
①ノートを使うときは、まず、日付、テキスト名、ページ数を左上に書く
②左側にそろえて書く
③詰め詰めにせず、スカスカなノートにする
④イラストや吹き出しも積極的に書く
⑤テキストの図を写すのではなく、文章を読んで図に書き起こすようにする
⑥物差しを使わずフリーハンドで書く
考える作法
解き方が見つからないときは、「何がわかっているの?」「何を聞かれているの?」「何を書けば解けそう?」と自問自答をする
これが、「スローの作法」です。実際、最難関校に合格する子どもが勉強する様子をそばで見ていると、学習習慣の中に「スローの作法」の要素を少なからず見つけることができます。
「スローの作法」は、「スピーディー学習」だけに陥らないために欠かせないものであり、落ち着いてじっくり問題に取り組む心の準備をさせるためのものです。これらが身につけば、どの科目でも日頃の学習内容がしっかりと身につき、テストや入試本番でも実力をあますところなく発揮していけるようになります。
西村 則康
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表