(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の就活とはどのようなものなのでしょうか。残念ながらハローワークや人材紹介会社での60以上の求人は職種が限られており非常に難しいのが現実です。しかし、現役時代の取り組みかた一つでまた違ったアプローチがあるのも事実です。セカンドキャリアコンサルタントの髙橋伸典氏が、自信や知人の体験談などを元に定年後の就活を成功させるポイントを解説します。

定年後の自分の強みの探し方

どうして強み・得意・好きなことを知る必要があるのか?

定年後に希望する仕事を見つけ、充実したシニア生活を送るために、自分の強み、得意、好きなことを知ることが非常に大切です。

 

それらが明確になることで、より自分に合った仕事を見つけやすくなり、自分の持ち味を活かすことで成果につながり、ストレスなく働くことができるからです。

 

「そんなこと言っても自分には、自慢するだけの強みなんてないよ」と言われるかもしれません。「何となく自分の得意なことはわかるけど、こんなにシニアの就活が厳しい中で通用しないよ」と言われるかもしれません。

 

でも大丈夫です! 自分には強みなんてないよと言われる方にも、30数年いろいろな仕事をしてこられた経験があります。営業、顧客対応、人事、企画、事務など、そこでやってきた仕事の中に、他の人がしてこなかった内容が隠されているはずです。それを明らかにするためには、過去の経験を細かく分解してみることが有効です。

 

例えば、「営業が得意です」と言った場合、これだけではよくわかりませんよね。細かく分解してみましょう。

 

①顧客の話を聞くのが上手い

・顧客がやってほしいこと、ニーズを引き出すのが、ずば抜けて上手い。

・顧客が話しやすい雰囲気を作るのが上手く、口が重い顧客を饒舌にさせる。

・話を聞いてもらうだけで、癒されると感謝される。

 

②ターゲット設定が的確だ

・顧客情報が豊富で、何を使っているかの情報を集める能力がある。

・市場分析が得意だ。

・競合会社の営業から上手く顧客の情報を聞き出すことができる。

 

③顧客へのクロージングを確実に行う

・相手が考える不安を読み取って解決できる。

・相手と自分のWin-Winを提示するのが上手い。

・購入、契約後の未来展望を提示するのが上手い。

 

④納期、納品を確実に守る

・関係部署への連絡を確実に行う。

・考えられるリスクを前もって想像して事前対策を打っておく。

 

得意を深掘りすると様々なスキル・知識が見つかります。次の「強み発見シート」を使って、過去の経験から強みになりえるものを発見していきましょう。

 

今までの仕事で業績を上げた時、上手くいった時、企画が成功した時、上司から評価されたこと、人間関係が上手くいった時、また人から褒められたこと、などを振り返り、思いつくままに「強み発見シート」の左側に書いてみます。

 

次に左の例に書いたことが、なぜ上手くいったのか、どんなスキルがあったからできたのか考えてみて下さい。書くことで、思い出すことや気付くこともあるので、この機会に一度振り返り考えてみて下さい。こうすることで、ご自身の強みがあぶりだされてきます。

 

また自分で考えるだけでなく、親しい人に自分の強みを聞いてみることで意外な強みを発見できます。なぜなら、えてして強みや得意なことは自然にできているので、本人は強みと思っていないものです。自分にとっては普通なことも、それができていない人から見ると、強みに映るのです。

 

次に各年代ごとの強みを見て共通するものがあるかさぐって下さい。

 

表の例文で言えば、「どの年代においても人との関わりの中で強みを発揮している。それが50歳台になると、多くの人をまとめることができるようになってきた。このシートから人に教えたり、コーデネートする仕事が向いているな」とわかってきます。

 

出所:髙橋伸典著『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より
[図表2]強み発見シート 出所:髙橋伸典著『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より

 

強みを活かせる場所を見つけよう

このようにして自分の強みがわかってくると、これからどのような仕事や活動をしていくか、これからの方向性が見えてみます。例えば、物を売る、人の相談を受ける、接客をする、人に教える、事務管理をする、などです。

 

方向性が見えてきたら、次にどこで発揮するか考えます。自分と同じ強みを持っている人がいるところでは、自分の価値が下がります。そういう時は、強みを活かす場所を変えてみるという手があります。つまり職場を変えるのです。

 

私の例で言えば、私が前職で四千人規模の会社の人事部で採用の仕事をしていました。成果は上げていましたが、同じことができる人はたくさんいました。私がいなくても、何も問題はありません。

 

しかし再就職先では、採用を担当する人は数名で、その中で採用の経験がある人は自分しかいませんでした。だからそこでは貴重な存在として大切に扱ってもらい、採用の能力は非常に高いと評価されました。

 

私の能力は変わっていません。しかし発揮する場所を変えるだけで、大きな強みに変わり存在感が高まりました。

 

マーケティング的に言うと、競争相手がたくさんいる「レッドオーシャン」から、競争相手が少ない「ブルーオーシャン」に移るのです。

 

例えば大企業にお勤めで、仕事が分業化され、何かの分野において高い専門性をお持ちの方が、その専門性がほしい中小企業に移られた場合など、貴重な存在として歓迎されることはよく見られます。上記グラフの太い丸の部分です。

 

出所:髙橋伸典著『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より
シニアの活躍の場 出所:髙橋伸典著『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)より

 

このように自分の過去の経験を掘り下げて考えることで、誰でもが強みをたくさん発見でき、それを活かす場所を探しやすくなります。ぜひ「強み発見シート」以外にも、あらゆるツールを使われて、自分を見つめてみてください。

 

<ポイント>
●誰にでも強みや得意なことがあり、過去の経験から見つけることができる。
●強みは発揮する場所を変えれば最強になる。

 

次ページ現役時代の人付き合いが再就職を大きく左右する

※本連載は、髙橋伸典氏の著書『退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

退職後の不安を取り除く 定年1年目の教科書

髙橋 伸典

日本能率協会マネジメントセンター

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