定年後の3つの働き方
2021年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正になりました。その背景には、今後の定年後の働き方が示唆されています。
主な改正点としては、以下の努力目標が設けられました。①70歳までの定年引上げ、②定年制の廃止、③70歳までの継続雇用制度の導入、④70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度導入、です。
これに対し、国、個人、会社の思いはどうでしょうか? 国としては、長寿社会を支えるために、定年後も年金に頼らず働いてほしいところです。
個人の思いはどうでしょうか? ①贅沢は言わないけれど、生涯楽しく、安定した生活を送るだけのお金を確保したい、②体のこともあるのでフルタイムで雇われるのでなく、自由度が高い働き方をしたい、③いつまでも人との関りをもっていたい。孤独になるのは寂しい、というところだと思います。
会社側の思いはどうでしょうか? ①高年齢者を雇うのは経費がかかり、人数も多くなると予算が圧迫される、②雇用が義務化されると、雇用に伴って管理することが増えるのでできれば避けたい、③長い在籍中につちかってきた知識・スキル・経験を活かし、それを若い世代に継承してほしい、という思いでしょう。
この国、個人、会社の思いを満たす方法はあるのでしょうか?
江戸時代から、近江商人は「三方よし」買い手よし、売り手よし、世間よしと、皆が幸せになる商売哲学で信用を獲得してきました。これと同じことができれば、国、個人、会社が望む、幸せな働き方ができると思うのです(図表1参照)。
この「三方よし」の働き方はいかなるものか? 定年後の働き方としては、大きく分けて①再雇用、②再就職、③独立(個人事業主)・起業(法人設立)、の3つがあげられます。
多くのサラリーマンは定年後、再雇用の道を選ばれると思います。現役時代に知人からの誘いがあったり、ニーズのある専門性をお持ちの場合は再就職の道も開かれるかもしれません。また、自分の知識・スキル・経験を活かして独立または起業される場合もあるでしょう。
本連載では再雇用・再就職の道を選んでも、いずれ自分の得意なこと、好きなことを活かして独立し、望めば生涯現役で楽しく働ける道を模索していきたいと思います。
その一つのモデルケースとして、再雇用中、再就職中に専門性を高めながら、今の会社と「業務委託契約」を結び個人事業主として仕事を継続する。あるいは再雇用中に副業などを経験しながら、再雇用が終了した後の仕事を模索することがあげられます(図表2参照)。
再雇用、再就職中に副業や業務委託契約の仕事を通じ、いろいろ仕事を試してみることで、生涯に渡って取り組むべき仕事をみつけていきます。図表2で言うと、一番上になりますが個人事業主として独立したり、法人格をもって起業したりすることを目指します。
どの道においても自律した自分、社会貢献をする自分であることが望まれます。ではどのようにして自分に合った道を見つけていくのか、その具体的な方法を紹介していきます。
●生涯現役で働くために、専門性を高め、活かしていくことを目指していこう。