介護者同士の情報共有にも有用
さらに、シートという目に見える形にすることで、スタッフや家族と情報の共有化がしやすいのもメリットといえます。
本連載では、認知症の初期の段階からのデイケア活用を提唱していますが、BPSDが出現したり頻発したりしやすくなる中期~後期にかけては特に、施設でのチームによるケアが症状軽減に有効と考えています。脳だけでなく、身体のさまざまな機能が低下し、かつ精神症状も出やすいので、それぞれのスペシャリストが連携しあって一人の患者を支えていくという考え方です。
そうなると、おのずと情報の共有化が必要になります。昨今、医療の現場では電子カルテやインターネット上のクラウドといったインフラが整いつつあります。介護やデイケア等のリハビリの場でも活用され始めていますが、そもそも「チームで支える」風土がその施設にないと、インフラがあったとしても単なる連絡板のようになってしまい、そこの情報をケアに活かそうとする動きになりにくいのではないでしょうか。
認知症は数年から場合により10年以上と、長い経過をたどっていきます。そのなかで早期発見も含め、適切な支援がないのとあるのとでは、同じ年月でもその中身には大きな差が出ます。適切な支援がなければ、早いうちから症状が多発かつ増悪が早く、本人の自立度は急激に低下し、本人も家族も苦しむことになります。反対に、適切な支援があれば症状の多発も増悪も緩やかで、治療計画やケア内容等の対策も立てやすく、本人も家族も負担が減ります(図表5)。
適切な支援を行うには、まず認知症の本人のことを知る、これに尽きるというのが私の考えです。本人の思いや感情をおきざりにして、教科書どおりの診療やケアをしていてもうまくいきません。
そして、チームで関わることの大切さも、今までの経験から身をもって実感しています。BPSDに介護者が一人で対応するには、大変な労力が必要です。しかし、家族で、医療チームで、地域で協力し合うことができるよう体制づくりが進められています。センター方式のシートは、この両方にとって有用であるといえるでしょう。
旭俊臣
旭神経内科リハビリテーション病院 院長
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