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米ドルの短期的な「上がり過ぎ」は修正済みか
これまでのように見ると、米ドル自体、そして米ドルが連動する傾向のある米金利も、米ドルが126円台まで反落した5月末にかけて、程度の違いはあるものの、それぞれ短期的な「上がり過ぎ」の修正が大きく進み、上昇が再燃しやすい状況となっていたことがわかるでしょう。
こういったなかで、先週発表された米景気指標では、5月雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)など予想ほど悪化しませんでした。また、ISM製造業景気指数などは、前回よりむしろ改善する結果となりました。
これらは、一部で浮上し始めていた米景気の先行き懸念を一服させる役割になったとともに、6月15日に予定されている次回FOMC(米連邦公開市場委員会)で、かねてからの予想通りに0.5%の利上げが行われるとの見通しを再確認させた可能性が高そうで、米ドルおよび米金利の上昇再燃を後押しすることになったのではないでしょうか。
「為替介入」への警戒感再浮上も
では、短期的な「上がり過ぎ」が修正された米ドルはどこまで上昇する可能性があるのか。
米ドル/円の90日MAは先週末の時点で122.5円程度(図表5参照)。すでに見たように、経験的には90日MAを10%前後上回ると、短期的な「上がり過ぎ」の限界の可能性が高まります。
先週末時点の米ドル/円の90日MAである122.5円を10%上回った水準は、122.5円×1.1=134.75円といった計算になります。その意味では、6月FOMCを前後して、先週のように米ドルや米金利の上昇を大きく阻害する材料がなかった場合は、一気に135円を目指す展開になる可能性すらあるのかもしれません。そうなると、再び日本政府の「円安阻止介入」が注目される可能性もあります。
米ドル/円の5年MAは足元で110円程度なので、135円まで米ドル高・円安が進んだ場合は、5年MAかい離率がプラス20%を大きく上回る計算になります。1990年以降で、同かい離率が±20%以上に拡大した4回のケースでは、うち3回について為替介入が行われました(図表6参照)。
以上のように見ると、米ドル/円がこの間の米ドル高値更新となった場合は、日本の円安阻止介入への警戒感も再燃し、米ドルは高値圏で一段と波乱含みの展開に向かう可能性があるのではないでしょうか。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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