1米ドル135円突破…日銀の「円安懸念表明」は通用するか【国際金融アナリストが解説】

6/14~6/20の「FX投資戦略ポイント」

1米ドル135円突破…日銀の「円安懸念表明」は通用するか【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

6月10日(金)、財務省、金融庁、日銀による「三者会合」の後、最近の円急落を懸念する声明が発表されましたが、足元では再び米ドル高・円安が進んでいます。このまま、もう一段の米ドル高・円安が進むのか、それとも「円安懸念表明」の効果や米ドルの「上がりすぎ」懸念の高まりから相場の揺り戻しが起きるのか……マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が、足元の米ドル高・円安の背景を紐解きながら、考察します。

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    <ポイント>

    ・米5月CPI上昇率が高水準となったことなどから、米インフレ懸念は強く、6月FOMC後も、FRBのインフレ対策を受けた米金利上昇・米ドル高の流れは続くとの見方が基本。

    ・ただ、米ドルの短期的「上がり過ぎ」懸念再燃等いくつか注意点もあり。今週の米ドル/円は米ドル高値圏で上下ともに振れやすい、132~136円中心の波乱含みの展開を予想。

    米ドル高・円安再燃の背景

    先週の米ドル/円は、一気に20年ぶりの米ドル高値である135円に迫る一段高となりました(図表1参照)。5月に126円台まで米ドル反落となったなかで、米ドルや米金利の短期的な「上がり過ぎ」が修正され、上昇が再燃しやすくなっていた影響が大きかったということではないでしょうか。

     

    (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表1]米ドル/円と日米2年債利回り差(2022年3月~) (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

     

    米ドル/円の90日MA(移動平均線)かい離率は、経験的にはプラス10%前後まで拡大すると、短期的な「上がり過ぎ」懸念が強くなります。同かい離率は、4月末にプラス10%以上に拡大しましたが、上述のように一時126円台まで米ドル反落となったなかでは5%を下回るまで縮小しました(図表2参照)。

     

    (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表2]米ドル/円の90日MAかい離率(2000年~) (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

     

    また、米2年債利回りの90日MAかい離率は、4月にかけて何とプラス100%前後まで拡大し、経験的には短期的な「上がり過ぎ」懸念が異常なほどに拡大している可能性を示すところとなっていました(図表3参照)。ところが、同かい離率は5月中に一時プラス20%程度まで急縮小となりました。

     

    (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表3]米2年債利回りの90日MAかい離率(2010年~) (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

     

    以上見てきたように、米ドルおよび米金利の短期的な「上がり過ぎ」懸念は5月末にかけて大きく是正され、上昇が再燃する状況が整っていました。

     

    こういったなかで、先週は日銀の金融緩和方針の再確認や、また10日に発表された米5月CPI(消費者物価指数)上昇率が高水準となったことなどを手掛かりに、米ドル高・円安再燃となると、一気に135円に迫る動きになったということでしょう。

     

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