不法行為による損害賠償は、原則「金銭賠償」となる
加害者から不法行為(民法709条)を受けたことで、被害者が大切にしていた財物が毀損した場合、「金銭的な賠償を受けても意味がない」と主張し、毀損した財物の原状回復を求めることはできるのでしょうか。
不法行為を受けた場合の損害賠償の方法としては、「金銭賠償」と「原状回復」が考えられますが、民法722条1項は、「不法行為による損害賠償については、原則として金銭賠償の方法による」こととしています。
金銭賠償の方法を採用した点について、
(注釈民法(19)344頁)
また、
加藤一郎「不法行為法〔増補版〕」215頁
などと説明されています。
そのため、交通事故で思い入れのある車両が壊れた場合であっても、交換価値を上回る補修費用の賠償は認められません。この点については、
佐久間邦夫、八木一洋編「交通損害関係訴訟」229頁
などと説明されています。
例外的に「原状回復」の方法を認めている場合
もっとも、法律で例外的に原状回復の方法によることを認めている場合もあります。名誉毀損の場合には、名誉を回復するのに適当な処分(例えば、新聞への謝罪広告など)が認められることがあります(民法723条)。また、不正競争を行って営業上の信用を害した者に対しては、営業上の信用を回復するのに必要な措置が認められることがあります(不正競争防止法14条)。また、鉱業法111条2項は、
と規定しており、原状回復請求を明記するものもあります。
山口 明
日本橋中央法律事務所
弁護士
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