(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

香港ハンセン指数は4日ぶりに反落

ハンセン指数 21,294.94 pt (▲0.56%)
中国本土株指数 7,345.64 pt (▲0.96%)
レッドチップ指数 3,971.21 pt (+0.38%)
売買代金1,260億8百万HK$(前日2,456億0百万HK$)

 

香港ハンセン指数は4日ぶりに小幅に反落し、同指数は前日比0.56%安で引けた。前日の欧州市場でユーロ圏のインフレ率高進からECBの金融引き締めに対する警戒感が強まり、米国市場でも、インフレ率の抑制が効かないことへの懸念から米ドルの金利先高感が強まって、10年米国債金利は再び2.9%台まで反転上昇した。。

 

朝方、5月の中国財新製造業PMIが発表された。結果は48.1と事前予想の48.9を下回るも、前月の46.0からは回復した。前日の中国国家統計局発表のPMIでも、同様に製造業・非製造業のどちらも景況改善・悪化の分岐点となる50を3ヶ月連続で下回っている点は気がかりである。

 

製造業を構成する指数では生産指数や新規受注指数は回復、雇用指数については前月から悪化した。要因としてはパンデミックの影響で製造業の稼働停止に追いやられたことで、製造業活動が悪化した可能性が高い。

 

ただ、指数は全般に改善を示していることからは、前月を底にボトムアウトしつつあるとの期待も残る内容だった。そして、都市封鎖が続いていた経済都市の上海は本日から経済が再開され今後の期待感は膨らんでいる。

上海ロックダウン解除による、経済再開に期待

上海メトロによると6月1日11時現在、上海の地下鉄の乗客数は91万3000人と発表した。都市封鎖前の3月15日同時間と比べると89万6000人の減少(▲49.51%)と初日の動きは乏しい印象である。

 

執筆時点で全20路線が運航再開しているが、7駅が運休となっているようである。経済の正常化が本格化するにはまだまだ時間がかかる可能性はあるが、段階的に日常生活が戻りつつある。

 

中国本土の株式市場では、上海総合指数が6日ぶりに反落、前日比0.10%安の3,182.16、CSI300指数は同0.20%安の4,083.18で引けた。

 

ただ、両指数は、約1カ月半ぶりの高値水準を回復しており、そのため利食い売りに押された可能性は高い。今後は、追加経済政策の効果とロックダウン解除後の感染が沈静化するかどうかに左右されよう。

 

米国では、バイデン米大統領とパウエルFRB議長が会談したことが伝わった。インフレ対策を重要視するバイデン大統領にとっては、中間選挙の争点の一つでもあり、会談の内容が注目された。

 

バイデン大統領は、FRBの独立性を尊重することと、金融政策はその判断に委ねるとコメントしたが、しっかりと判断し行動するよう促したとも言える。パウエル議長にとってはプレッシャーを掛けられたということになる。

 

インフレ率が高いだけに、FRBの大幅利上げに対する市場の警戒感は続いている。なお、どこかの政治家のように、中央銀行は政府の小会社などと妄言を言ったりしない見識は、流石である。
 

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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