都市が繫栄するためには「安全・エネルギー・食糧・交流」といった条件を満たす必要があります。しかし、これらの条件をほとんど満たさないのに発展した都市があります。福岡県の博多です。歴史的背景から理由を探っていきます。元国土交通省河川局長で日本水フォーラム代表理事の竹村公太郎氏が解説します。

地理的条件が不利な福岡は「海外情報」を強みに発展

福岡は地理的に自然や外敵に無防備で土地も豊かではなく、大きな川もありません。では、都市発展の条件を満たさない福岡の博多は、いかにして繁栄したのでしょうか。その原動力になったのが、海外から流れ着く情報でした。

 

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漂着

 

都市が繫栄する条件は、安全、エネルギー、食糧、交流です。しかし、これらの条件をほとんど満たさずに発展した都市もあります。福岡県の博多です。

 

博多は玄界灘をはさんで朝鮮半島の眼前に位置し、海岸線は開放的なため、外敵の侵入が容易です。一方、現在の市街地は、江戸時代以降の埋め立てによって形成されているため、土地は水はけが悪く浸水しやすいです。さらに、那珂川などの小さな川はありますが、大きな河川がなく、都市生活をまわすためのエネルギーである薪や食糧を搬入することも困難でした。

 

[図表2]文化年間の福岡・博多(1804~1818年)

 

では、何が要因となって博多が栄えたのかといえば、都市発展の4つ目の条件「交流」です。中世では、博多は日宋貿易の拠点であり、12~13世紀には博多浜に聖福寺、東隣には承天寺が創建されていました。やがて大陸で元が台頭してくると、日本にも襲来し、博多は元寇の防御のために防塁が建設されたのです。

 

それ以前も、南方系や大陸系の人間が漂流してくるのは、海流の都合から博多であったことが近年の研究でわかっています。博多は、海外から日本にやって来る人間の玄関口であり、さまざまな文明が漂着する一大交流点だったのです。こうした濃厚な交流は、福岡に膨大な情報を運び続け、繁栄の原動力となっていたのです。

 

[図表3]現在の福岡・博多

 

 

竹村 公太郎

元国土交通省河川局長・日本水フォーラム代表理事

 

 

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