都市が繫栄するためには「安全・エネルギー・食糧・交流」といった条件を満たす必要があります。しかし、これらの条件をほとんど満たさないのに発展した都市があります。福岡県の博多です。歴史的背景から理由を探っていきます。元国土交通省河川局長で日本水フォーラム代表理事の竹村公太郎氏が解説します。

戦国時代に国際貿易都市として名をはせた、大阪府・堺

陸路と水路の発達は都市の巨大化、発展を推進させる要因になります。環濠都市・堺は、そうした重要なインフラを戦国時代、環濠を軸に作っていきました。しかし、大坂夏の陣で焼き討ちされ、市街は焼失してしまいます。

 

 KEY WORD 

大和川、環濠

 

古代に作られた都や城下町といった大型の都市は、街道、水路などの交通路があって、初めて成立、発展しました。戦国時代の国際貿易都市として有名だったのが、大阪府の堺です。

 

堺は、瀬戸内・太平洋航路の発着点であり、多くの街道を控えた陸路の要衝。北、東、南を囲む濠を廻(めぐ)らせた環濠都市で、巨大な財力と高い市民文化によって自治都市として栄えました。環濠は外敵からの防禦(ぼうぎょ)や排水濠として効率的な都市運営を図るシステムですが、織田信長、豊臣秀吉の支配下になって濠が埋められ、さらに大坂夏の陣では焼き討ちされて市街は焼失しました。

 

堺が栄えた時代、環濠は幅が10mを超え、二重に巡る場所もありました。濠は町中にも巡らされ石垣で護岸されていたので、物資を運ぶ運河として利用されていたと考えられています。

 

町中を縦横に巡っていた道路は、幅6mもの大通りから狭い路地まであり、交差点の四つ辻もありました。江戸時代に町割りと環濠は復興されましたが、鎖国政策で堺はその機能を失ってしまいます。さらに河内平野を北流していた大和川が、石川との合流点から付け替えられ、堺のすぐ北で大阪湾に注ぐようになったことで土砂が流入、港湾機能も低下しました。

 

ただし、地理的な重要度は今も変わらず、埋め立てで海岸線は変化したものの、港湾都市として現在も重要な役割を果たしています。

 

[図表1]環濠都市・文久三年(1863)の堺

 

 

[図表2]環濠都市・堺の現在

 

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