会社勤めのメリットを知っておく
60歳で「嘱託」になると、ガクンと給料が減り、小さな会社では、それまで月30万円だった給料が月10万円に減るといったところさえ出てきています。
ただ、給料は下がりますが、会社勤めにはメリットも多いです。
まず、定年後の再雇用では、「健康保険」が継続されます。
定年後に嘱託として再雇用された場合、退職から再就職までの空白がないケースが多いですが、空白がなければ、会社の健康保険に続けて加入することができます。
健康保険は、保険料が労使折半です。ですから、収入にもよりますが、自分が全額負担しなくてはならない「国民健康保険」よりも負担額が低くなる可能性があります。また、健康保険には「同日得喪」という特例があって、60歳以上の方が継続して働いていて給料が一定額以上下がったら、保険料の算出基準が変更されて、翌月からは保険料が安くなります。
健康保険に加入していると、病気や怪我で会社を休まなくてはならなくなった時に、国民健康保険にはない「傷病手当金」をもらって会社を休むことができます。
60歳を過ぎると、体にもいろいろと支障が出てくる可能性があるので、「傷病手当金」が使えることは、安心です。
■定年後すぐに働くなら「高年齢雇用継続基本給付金」
60歳で嘱託になると、たいていの場合は、それまでもらっていた給料の額よりも減ります。
そこで、給料が減ってしまった人を援助する制度がいろいろとあります。
「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」「再就職手当」などです。
「高年齢雇用継続基本給付金」は、定年から間をおかずに働く方に対する手当で、60歳以降の賃金が、60歳時点と比べて75%未満になる時に出て、たとえば61%未満になるというようなケースでは60歳以降の賃金の15%が支給されます。61%より大きく75%未満なら、15%よりも少なくなります。
2ヵ月に1度の支給で、65歳まで最大5年間続きます。
「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」は、いったん会社を辞めて失業給付をもらいながら職探しをし、給付の残り日数が100日以上または3分の1以上残っている場合に支給されるお金です。
■65歳の誕生日前の退職がおトク!?
もし「雇用延長」で65歳まで働く気なら、65歳になる1ヵ月前に会社を辞めたほうが、老後のためにもらえるお金の手取り金額が増えるかもしれません。
なぜなら、65歳になる1ヵ月前に辞めると、「失業保険」と「老後の年金」の両方をもらえるからです。
「失業手当」は、65歳未満で退職した場合には、65歳になって退職するよりも給付金が多くなります。
65歳未満で退職した場合、自己都合で退職したとしても、「失業手当」は90日から150日ぶんが支払われます。65歳を過ぎても働きたいという意欲があって職探しをすれば、失業手当の対象となるのです。
いっぽう、65歳を過ぎると、失業手当が「高年齢求職者給付金」という名前になって、一時金で30日から50日の手当しかもらえなくなります。
つまり、65歳で退職して「高年齢求職者給付金」をもらうより、65歳の誕生日を迎える前に退職して「失業手当」をもらったほうが額は増えるかもしれない。
さらに、人によっては60歳から65歳までの間に「特別支給の老齢厚生年金」(報酬比例部分)をもらうことができるのですが、これも、64歳11ヵ月で会社を辞めれば、もらえるかもしれません。
荻原 博子
経済ジャーナリスト
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