(※写真はイメージです/PIXTA)

最近は老後に生活資金が不足し、経済的に破綻する高齢者が少なくないことから、「長生きリスク」などという言葉をよく目にするようになりました。また「老後資金2,000万円」が流行語となり、その真偽や真意も含めて議論が展開されています。一体いくらあれば安心した老後を迎えられるのか、そのために今から何をすればよいのか、現役世代である私たちは待ったなしで考えておかなければなりません。辻・本郷税理士法人の菊池典明税理士が解説します。

多額の貯蓄・年金があっても「老後破産」はあり得る

現役時代に高額所得者であった方は、リタイア時に受け取る退職金やその後に受け取る年金額も比較的多く、安心した老後を迎えられるような気がします。ところが実際には、高額所得者であっても老後に破産してしまう方が一定数います。十分な貯えと、他の方と比べて多額な年金をもらっているのに、なぜ破産してしまうのでしょう?

 

■「高額所得者ならではの破産理由」を考えてみる

一般的な老後破産の理由としてよく挙げられているのは、

 

①リタイア後に支出レベルを下げられない

②住宅ローンが終わっていない(晩婚化や晩産化が影響)

③子や孫に対する学費などの支出が増加(晩婚化・晩産化に加え、離婚の増加も影響)

④自身が受ける介護サービス費用の発生

 

などです。この中で特に高額所得者だった人にとって影響が大きいのは①でしょう。

 

たとえば、毎月の収入が30万円、支出が18万円だったAさんがリタイアし、月額20万円の年金で生活することになった場合は、支出レベルを下げなくても毎月の収支はプラス2万円となり、ただちに老後破産とはならないばかりか、わずかな貯蓄も可能かもしれません。

 

しかし、毎月の収入が100万円あり、毎月60万円を支出していたBさんでしたらどうでしょう。年金が月額35万円であっても支出レベルがそのままだと毎月の収支はマイナス25万円となり、仮に2,000万円の貯蓄があってもわずか6年半ほどで貯蓄は底をついてしまいます。

 

毎月の支出額を収入に見合った額に見直さない限り、あっという間に破産してしまうのです。

 

もちろんこんなことは高額所得者だった方はみな、理屈としては理解しています。でも収入が3分の1になったからといって、支出を3分の1にはできないのです。要因は様々考えられますが、高額所得者は現役時代に固定費を上げてしまっているケースが多く、これが支出を下げられない主な理由ではないでしょうか。固定費とは、住居・自動車・保険・通信・教育などに関連する費用です。これらはみな、上げるのは簡単ですが下げるのはとても難しいものばかりなのです。

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