受検合格に「銀本」は必須
公立中高一貫校合格のために絶対に欠かせないのが、みくに出版から出ている『公立中高一貫校適性検査問題集全国版』、通称「銀本」です(表紙の色が銀色です)。ほぼ全国の公立中高一貫校の最新年度の問題が1年分掲載されており、ページ数は約1000ページ。かなり分厚く、手に取るとずっしりと重いです。私が講師になりたての頃はまだ300ページ台でしたが、公立中高一貫校がどんどん増えるにつれ、いまでは枕になりそうな厚さになってきました。
私がこれまで指導してきた子たちは、銀本を少なくとも1年度分、多い子は5、6年度分網羅してから本番に臨んでいます。早い子は2ヵ月弱で1年度分消化しているようです。
適性検査は学校により傾向がバラバラなのに、全国版を解く必要が本当にあるのか、初めは疑問に感じる方も多くいらっしゃいます。しかし、銀本が得点につながる理由はいくらでもあります。銀本はその厚みからどうしても敬遠されがちですが、まずは「解くべき理由」を知ってください。
銀本を解けば、適性検査の難易度がガクッと下がる
適性検査は、一見すると科目の分類もなく、つかみどころがないように見えます。しかし、同じ切り口(たとえば人口減少や森林伐採など)で出題されることも多く、銀本を網羅することで「あ、これと似たような問題を知っているぞ」と気づくようになります。そうなれば、記述式の問題に対しても「確かこういう内容で書けばいいはず!」と、解答の方向性を見抜くことができます。ほぼ記述で構成されているからこそ、「こういう問題はこういう答えを書くと丸になる」という引き出しの多さが、得点につながっていくのです。
理系の問題では、小学校では習わない問題(立方体を積み上げて色を塗ったり、ロボットの部品を回転させたり、野菜を水に沈めたり…)が出題されますが、ものすごく特殊で斬新な問題に見えて、実は似たような問題がすでに他県で出ていることが本当に多いのです。知識を問わない問題をイチから考えるのは大変なので、「他県の適性検査を真似て作問したのでは…」としか思えないことも多々あります。
実際、銀本を解き始めてから数ヵ月経つと、「似たような問題がたくさんあるとわかって、解くのが楽しくなってきた!」と言う子が出てきます。「コレも知ってる!アレも見たことある!」という状態になると、得体が知れないと思い込んでいた適性検査が急に攻略可能な面白い問題に見えてくるので不思議なものです。適性検査そのものに耐性ができると、解くスピードも上がってくるので、見た目の分厚さに負けず、心のハードルを上げ過ぎないようにしてくださいね。