「先生がご高齢のようだったので…」中学受検に受かった子の「作文」、驚きの着眼点【合格アドバイザーが解説】

「先生がご高齢のようだったので…」中学受検に受かった子の「作文」、驚きの着眼点【合格アドバイザーが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

公立中高一貫校を“受検”しようと本気で思ったら、何をすべきでしょうか? 公立中高一貫校合格アドバイザー・ケイティこと窪田亜実氏の著書『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)より、「作文対策」の基礎について見ていきましょう。採点者は、作文を通してその子がどれほど真剣に学習に取り組んできたかを読み解きます。合格する作文を書くには、作文対策の“スタートライン”が重要です。

作文対策は「ほめて、伸ばして、ダメ出ししない」

受検100〜60日前は、いよいよ作文に対する危機感が出てくる時期です。作文対策に本腰を入れていきましょう。できれば、ペースとしては週に2本以上は書きたいところです。通塾している方は、普段からこのくらいは書いているかもしれませんね。その場合は、プラスあと1本を目標にしましょう。

 

ただし、「書くのが本当に苦手!」という子もいます。その場合は苦痛にならないよう1本は解答例の模写、もう1本は模写した解答例を真似て答えを見ずに書いてみる、というように完全にオリジナルではなく、手本となるものを写す・真似することから始めてみましょう。

 

作文に関しては、苦痛になってしまうと、その後の取り組みが本当にきつくなってしまいます。「ほめて、伸ばして、ダメ出ししない」、これを合言葉にしてください。実際に書いてみるとわかりますが、作文は本当に大変な作業です。原稿用紙に鉛筆で書いたり消したりしながら全体の字数を調整するのは非常に面倒で、思っている以上にしんどいです。

 

それを一生懸命がんばって書いていることが偉いのです。たった5、6年前に、ようやくひらがなをまともに書けるようになったばかりの子が、何百字もの作文を一生懸命書いているわけです。どんなに目を覆いたくなる内容だったとしても、字数内に収まったことや、丁寧な字で書けたことなど、何かしら「ほめポイント」を探して認める声がけをしましょう。

 

出所:ケイティ(窪田亜実)著『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)より
作文は「ほめて伸ばす」 出所:ケイティ(窪田亜実)著『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)より

採点者の印象ダウンにつながる「表面的なミス」を改善

イヤイヤではなく作文を書くことができ、その習慣を作ることができたら、次は「ミスゼロ」を目指すステップに進みます。どんなに深い内容を書いていたとしても、漢字ミスや誤字脱字、字が雑といった表面的なミスが多ければ、採点者としては「うーん、慣れていないな」と感じてしまうものです。作文は、その子の人柄が本当によく表れます。「おっちょこちょいだな」「注意不足だな」など、マイナスな印象を与えてしまうのは非常にもったいないことです。

 

「表面的なミス」と言っても、いくつかパターンがあります。具体的には次の通りです。

 

●字(消し過ぎ、消し残し、枠へのぶつかり、薄過ぎ、小さ過ぎ)

●誤字脱字(送り仮名ミス、漢字ミス)

●くり返し(内容、表現、接続詞)

●不自然な表現

 

まず字については、消しゴムの扱いに注意をしてください。作文は何度も書いたり消したりするので、どうしても消し残しや消し過ぎがよく起こります。消しゴムの使い方の再確認はもちろん、消しゴムそのものも見直してみてください。消えにくい消しゴムを使っている場合もあります。何百枚も採点する先生にとって、「見づらさ」はかなりの印象ダウンです。

 

誤字脱字は、1つの作文(目安としては400字程度)の中に送り仮名ミスや漢字ミス、ちょっとしたひらがなの漏れが3ヵ所以上ある場合は注意が必要です。1文書いたら、さっと読み直す。この習慣を徹底させてください。初めはものすごく面倒くさがると思いますが、慣れれば自然とできるようになります。

 

最後に書き終わってからミスに気づいても、そこから調整するのは非常に困難です。原稿用紙は、Wordのように1文字消せばそれ以降のすべての文字を自動調整してくれるような便利な機能は当然ありません。たった1字の訂正でも、段落単位で大きな影響を及ぼします。書いたその場でミスに気づけるよう、いまのうちから「セルフチェック機能」を高めておきましょう。

 

「くり返し」については、多くの受検生が抱えている課題です。一段落目と三段落目に書いていることがほとんど同じだったり、四段落目に同じ内容をぐるぐる書いていたり…。自分でも、なんとなく「同じような内容をくり返しているな」と思いつつも、それ以外にどう表現していいかわからず、もしくは字数が埋まらないために、仕方なくくり返している可能性があります。ですから、「ここ、同じ内容になっているよ」と指摘するのではなく、本人もくり返しになっていることにモヤモヤしていることをふまえた上で、「こういう表現にしてみたら?」と代案を伝えてあげてください。

 

また、接続詞のくり返しも要注意です。特に、「しかし…しかし…」「そのため…そのため…」「そして…そして…」など、同じ接続詞が何度もくり返されている作文をよく見かけます。これについては、ご本人が気づいていないことも多々あります。お子さん自身に、「同じ接続詞が連続しているところがあるから、探してみて!」とクイズ形式で見つけてもらうのも1つの方法です。

 

最後に、不自然な表現についてですが、代表的なのが「文のねじれ」です。

 

『先生に怒られました。理由は、宿題を忘れました。』

 

この文章、違和感がありますよね。「理由は、」で始まっているのに、理由を表す文末になっていません。「忘れたからです。」にすると、きちんと文がつながります。

 

もう一つ見てみましょう。

 

『私は、筆者は、挨拶の大切さについて述べている。』

 

このように、主語と主語が連続してしまって、述語とのセットがわかりづらくなっている文もよく見かけます。今回は例なので短い文で紹介しましたが、1文が4行5行と続くような長文を書く場合は、特に起こりやすくなります。

 

「作文のプロのような細かな添削をしなければ!」と意気込むのではなく、1人の大人として「ここは何か変だな」と感じる違和感を大切にしましょう。「おかしいな」と感じたところを、お子さんと一緒に「どう言い換えればいいかな?」と考えるようにしてください。

次ページ合格の秘訣は「大きな字で作文を書いたこと」?

本連載はケイティ(窪田亜実)氏の著書『公立中高一貫校合格バイブル』(実務教育出版社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

公立中高一貫校合格バイブル 受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか

公立中高一貫校合格バイブル 受検500日前から本番まで「いつ」「何を」するべきか

ケイティ

実務教育出版社

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