保護者も志望校の過去問にチャレンジ
1学年上の子たちが本番を迎えたら、いよいよあと1年です。受検学年となるお子さんのサポート方針を固めるためにも、保護者の方も問題にチャレンジしてみましょう。できれば最新の検査問題を早めに入手し、時間を計って解いてみてください。もし、入手が難しいようであれば、1年度前のものでもかまいません。少なくとも2年度分は解いてみましょう。
「受検するのは子どもなのだから親が解かなくても…」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、公立中高一貫校受検では、相手(志望校の問題)をよく知り、日々の家庭添削に活かすことが非常に重要なのです。これが、私立中学受験との大きな違いです。
保護者の方がしっかりと志望校の適性検査と向き合い、ご自身が高校受験や大学受験で経験してきた知識重視型の問題とどう違うのか、把握するところから始めましょう! 「作文なんて数十年前の読書感想文くらいしか書いたことないのに…」と躊躇(ちゅうちょ)する気持ちにいったんふたをして、チャレンジしてみてください。お子さんは、もっと不安な状態からスタートするのです。まずは保護者の方が、受検に向かって動き出した姿を見せてあげましょう。
適性検査対策は、子どもや塾にまかせっきりでうまくいくことはまずありません。本連載は、保護者の方が公立中高一貫校受検をするお子さんにとって最高のコーチになることを、最大の目的としています。そのため、「子どもが受検したいと言ったのだから、自分の言葉に責任を持って最後までがんばるべきだ」「専門の塾に通わせているから、合格する力をつけてくれるはずだ」という考えの方にはあまり向きません。
保護者の方の時間、労力、気力、体力、すべてが必要です。「受検したい!」というお子さんの気持ちをサポートすると決めたからには、これから乗り越えなければいけない壁の高さ、つまり志望校の問題の難易度をきちんと把握しておきましょう。実際に解いてみると、延々と続く記述問題や、パズルのような問題に苦戦すると思います。また、作文では時間内に構成を決め、制限字数を埋めることに相当な難しさを感じるはずです。
1年後にお子さんが向き合わなければいけない問題の難しさを肌で感じると、この先受検勉強で壁にぶつかったとき、どういうところで苦戦しているのかが想像しやすくなる分、適切なサポートができるようになります。