銀本を消化するには「大きな壁」もあるが…
銀本を解くメリットはご理解いただけたと思いますが、取り組む上で大きな壁が2つあります。1つは、解答例がかなりシンプルであること。思考力型の問題のため、答えだけを見ても「どうしたらこの答えになるのか」がサッパリわからないことがあるはずです。解答はあっても解説がないので、わからない問題はそのままになりやすいのです。
また、記述問題は十人十色の答え方があるため、解答例と微妙に異なる記述をしたとき、どう採点していいのか判断がつかないことがあります。せっかく解いても「何だかよくわからない」という感想になってしまうと、解いた本人もモヤモヤしてしまいますよね。その結果、銀本を買ったけれどもそのまま放置してしまった…という話もよく聞きます。
「塾に通わせれば質問できる」という考えもありますが、適性検査はパッと見て解ける私立型の問題ではないため解説に時間がかかり、「指示していない問題の質問はご遠慮ください」と防衛線を張っている塾がけっこう多いのです。塾側も日々の授業の準備や授業後の山のような添削などがあり、決して余裕があるわけではありません。何人も受け持っているうちの1人の生徒の家庭学習まで細かくフォローするのは、適性検査だからこそ難しいと言えます。
もう1つの壁は、保護者添削が欠かせないことです。ほとんどが記述式であるため、「解いた本人以外」の誰かが丸バツをつけないと、甘い自己採点になるのは予想できると思います。解いた本人は解答例と多少の違いがあったとしても、「合っているだろう」という目線で判断しがちです。後から保護者の方がチェックして、「これで丸なわけないでしょ!」とツッコみたくなる甘い採点が多発します。また、誤字脱字、不自然な表現など、解いた本人は気づかないミスも多いので、保護者の方による添削が欠かせません。
とはいえ、保護者添削はかなりの重労働です。一問一答型ではないので、記述の添削をするには、その問題を解かないと正しく添削できないからです。問題を理解するのにも時間がかかりますし、さらに添削となると、お子さんが机に向かっている以上に時間を割かないといけないこともあります。添削にかかる時間の負荷が、銀本を取り組む上で大きな壁になっています。