(※画像はイメージです/PIXTA)

本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『ロボット/AIニューズレター(2022/5/9号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

9. 税法

暗号資産やNFTなどのデジタル資産の取引は経済活動である以上、税金が課される場合があります。

 

(1)個人

個人が暗号資産を売却して利益を得た場合、その利益は所得税の対象となり、原則として雑所得に区分されます(所得税法27条、35条、36条)。もっとも、その暗号資産取引自体が事業と認められる場合や、その暗号資産取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合には事業所得に区分されます。事業所得は他の所得と損益通算ができますが、雑所得は損失を通算することができないなどの違いがあります。

 

いずれの所得に区分されるにせよ、暗号資産取引によって得られた利益に対しては最高税率55%の税率で所得税及び住民税が課されることになります。

 

気をつけなければならないのは、暗号資産を他の暗号資産と交換する場合や、暗号資産を使ってNFTを購入した場合にも、一度、暗号資産を売却して、その代金で他の暗号資産やNFTを購入したと整理されているので、暗号資産の交換時やNFT購入時であっても、元の暗号資産の利益に対して最高税率55%の税率で所得税及び住民税が課されることになります。

 

そのため、大きく値上がりした暗号資産を使って他の暗号資産と交換したり、NFTを購入した場合には、現金化されていなくても、最高税率55%の税率で所得税及び住民税が課されることとなり、購入した暗号資産やNFTが大きく値下がりした場合には税金を払えなくなるという事態も起こり得ます。

 

(2)法人

法人が暗号資産を売却した場合、その譲渡損益は益金または損金となります。また、個人と同様に、暗号資産を他の暗号資産と交換する場合や、暗号資産を使ってNFTを購入した場合にも、元の暗号資産の譲渡があったものとして取り扱われます(法人税法61条1項)。

 

また、法人が事業年度末に保有している暗号資産については、活発な市場が存在するものについては、事業年度終了の時に決済したものとみなし、時価評価をして法人税を計算するものとされています(法人税法61条3項)。そのため保有している暗号資産が現金化されていなくても含み益に課税されることとなります。

 

したがって、暗号資産を保有することを前提としたビジネスをしようとすると、日本では、保有している暗号資産に含み益が生じると、保有しているだけで、キャッシュフローが生じていなくても課税されてしまうことになるため、そのようなビジネスをすることができず、やむを得ず、そのような税制のない海外に会社を設立せざるを得ないこともあり得ます。

 

このように、日本の税制は、暗号資産やNFTを利用したビジネスに対して厳しい税制であると言えます。

10. まとめ

以上のとおり、メタバースにおいては幅広い法律が問題となります。

 

メタバースについては、新しい分野であるため、法制度が追いついておらず、ルールが明確でないものや従来の法律では対応できていない部分が数多くありますが、そのような状況でいかにビジネスを展開していくかについて知恵を絞ることが、メタバースビジネスを成功させるためには重要と考えられます。また、日本においてメタバースを発展させるためには、メタバースでどのような世界を実現したいのかを見据えた上で、ルールの提案をしていくことも重要と思われます。

 

 

福岡 真之介
西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

 

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