(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

中国景気対策の期待が高まる

ハンセン指数 20,171.27 pt (+0.29 %)
中国本土株指数 6,898.56 pt (+0.22%)
レッドチップ指数 3,835.41 pt (+0.07%)
売買代金1,034億1百万HK$(前日1,136億4百万HK$)

 

香港ハンセン指数は3日ぶりに反発し、前営業日比で0.29%高となった。米国株式市場で、金融株が上昇したことや、中国人民銀行が経済支援のための貸出を拡大するよう市中銀行に要請したから金融株が上昇した。HSBC(0005)は前日比3%超、上昇した。

 

中国国務院が23日に決定した景気対策パッケージにも評価が高まり、自動車関連が上昇、中国自動車メーカーのGWM(2333)は前日比10%以上反発した。動画投稿アプリのシェア中国2位を誇る快手科技(1024)は前日比5%強上昇した。前日に発表した第1四半期決算で、赤字幅が縮小し、売上高・純利益ともに市場予想を上回ったことが好感された。

 

中国本土の株式市場は、午後の取引から終盤に掛けて上昇して取引を終えた。上海総合指数終値は前日比1.19%高い3,107.46、CSI300指数は同0.61%高の3,983.18で引けた。
中国政府の景気支援パッケージは、前日にはあまり芳しい評価ではなかったが、今日は評価が見直され好感された。

 

ただ、新型コロナウイルスの感染に伴う景気減速懸念は根強い。上海市では、6月1日から商業施設が営業再開される見通しが示されたが、北京市と隣接する天津市では行動制限が続いている。行動制限解除を見通しせない不透明な状況は続いている。

 

昨日も指摘したが、新型コロナウイルス感染抑制のための行動制限が中国経済に与える影響は大きく、中国経済のGDP成長率の見通しを下方修正する動きにつながっている。JPモルガンは25日、改めて、第二四半期の成長率を前回の1.5%減少から5.4%減少に引き下げた。

香港IPO件数は昨年比で低下も、4月からは回復傾向へ

香港取引所で今年に入ってIPOで資金調達された金額は、昨年同期間の207億ドルに対して21億ドルに過ぎず、2009年以来の過去12年間で最低を記録した。前年比では90%減少という厳しい状況である。

 

中国経済の減速リスクと新型コロナウイルス感染抑制のための行動規制が、IPOにも影を落としている。香港取引所に上場申請していた企業が前会計年度で業績悪化してしまったことも、上場スケジュールの後ろ倒しを招いている。

 

25日香港財経事務處の許正宇局長は、今年4月の香港取引所におけるIPOに関して、22件の申請を受領し、香港でのIPOの申請ペースはようやく回復基調にあると述べた。直近では香港を本拠とする保険会社FWD Group Holdings Ltd.が、香港取引所での新規株式公開の承認を得たと発表した。規模を伴ったIPOとなる可能性が高い。上場日などの日程は明らかにされていないが、下半期以降は、上場件数も回復が見込まれ、香港市場の巻き返しに期待がかかる。

 

なお、香港取引所(0388)は23日に、海外投資家を呼び込むために、2023年に欧米に事務所を設立するそうである。

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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