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新築建売住宅の建築費内訳は?
では、東京のベッドタウンに建つ販売価格3,900万円程度の新築建売住宅について、その建築費内訳を探ってみたいと思います。
建売住宅とは、ハウスメーカーの企画設計のもと完成した形で売られている新築戸建住宅のことです。販売価格には、建物のほか土地の価格も含まれています。
ここで気になるのが土地と建物の価格比率です。一般的に新築建売住宅の建物価格(建物本体の工事費用)は全体価格の7割程度といわれます。3,900万円の7割ということは2,730万円になりますが、一体どんな工事にいくらぐらいかかっているのでしょうか?
◆仮設工事費(建物価格の約4%):110万円
工事を開始する前の足場の組み立てや地面の敷き鉄板、工事に使用する電気配線、工事内容の表示看板、作業員用の休憩所やトイレ等をつくるための費用です。大規模現場の場合はクレーンなど重機の設置費用、作業員休憩所のイスやデスク、冷暖房設備なども含まれていることがあります。
◆基礎工事(建物価格の約6%):160万円
建物全体を支える基礎工事の費用です。基礎工事の種類は複数ありますが、一般的には基礎部分全体にコンクリートを流し込んで固める「ベタ基礎」か、建物の壁に沿ってコンクリートを流し込む「布基礎」、地盤が軟弱な土地に杭を打ち込んで支持層まで到達させる「杭基礎」などが採用されています。この中で布基礎はリーズナブルですが、ベタ基礎や杭基礎の費用は比較的高額になります。
◆木工事(建物価格の約24%):650万円
建物の躯体となる木材の組み立て、取り付けを行う工事の費用です。プロの大工が行う作業なのですが、大工職にも種類があり、日当で働く「常用大工」、作業一式で報酬を受ける「手間請け大工」がいます。どちらの大工を何人使うかで費用総額も変わってきます。
◆屋根板金工事(建物価格の約4%):110万円
屋根瓦や壁の葺き付けのほか、雨どいや水切りの取付工事を行うための費用です。薄く平たく形成された金属の「板金」を使って屋根を固定したり、屋根接合部分の雨水の侵入防止工事などを行います。
◆タイル・左官工事(建物価格の約6%):160万円
左官工事は室内の壁や玄関・勝手口の床に漆喰やセメントなどを塗り付ける工事です。タイル工事はバスルームやキッチンなどタイル張りを行う工事です。いずれも熟練の技術が必要な作業のため工事費は高額になります。
◆外装工事(建物価格の約6%):160万円
外壁のサイディング張りやモルタル塗りなど屋外の装飾工事を行う費用です。
◆木製建具工事(建物価格の約2%):50万円
室内の木製ドアや和室の障子や襖などの取付工事を行う費用です。
◆金物工事(建物価格の約7%):200万円
室内のドアノブや手すりなど金物部材の取付を行う費用です。窓サッシやカーテンウオールの取付工事なども含まれます。
◆電気・水道工事(建物価格の約18%):500万円
室内の壁や床の内部、天井裏など室内から見えない部分に張り巡らされる電線、電話線、水道配管の設置工事を行う費用です。外部の公共電線・上下水道と連結させる大掛かりな工事となるため、比較的高額となります。
◆内装工事(建物価格の約9%):250万円
室内インテリア、主に壁クロス、床フローリング、畳などの設置を行う費用です。天井の塗装や間仕切り壁、建付家具の設置を行う場合もあります。
◆雑工事・諸経費(建物価格の約14%):380万円
他の工事費に組み込めない仕上げ・補修工事や工事端材の処分、工事完了後のクリーニングなどの費用になります。
費用毎に建物価格に占める割合を表示しましたが、これは一般的な新築戸建工事を行う際のおおよその目安です。この割合をもとに建物価格2,730万円を割り振ってみると、どんな工事にどれだけの費用がかかっているのかが見えてきます。
比較的高額なのは躯体工事が含まれる木工事と、ライフラインを整備する電気・水道工事で、これだけで1,000万円を超えてしまいます。また、最終的には撤収されてしまう仮設工事費に110万円もかかっているのも驚きです。
まとめ
近年の新設住宅着工戸数は増加傾向にあり、「持ち家」の着工率も増加傾向にあります。住宅市場においても「狭い都心より郊外の広い戸建住宅」という需要が増えており、新築住宅の需要が高まっているようです。
国交省のアンケートデータによると、新築住宅購入者(平均的プロフィール)は30歳代で4人家族、年収700万円前後、毎月10万円程度の住宅ローンを支払っています。マイホーム(新築戸建)の購入金額平均は3,900万円で、建物代金はその7割程度(2730万円)になります。
建物代金の内訳は「木工事(24%)」がもっとも高く、次いで「電気・水道工事(18%)」「雑工事・諸経費(14%)」の順になっています。