(画像はイメージです/PIXTA)

相続トラブルがこじれると、最終的には弁護士に依頼し、解決を図ることになります。しかし、弁護士への依頼は多くの方にとって「非常事態」です。時間や予算の問題もあり、疑問や不安を言い出せないまま、納得できない着地となる場合もあります。それを防ぐには、どう対応したらいいのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

やっぱり弁護士を変更したいが、着手金はどうなる?

ほかの弁護士に相談したところ、どうやら最初に相談し依頼しようとした弁護士よりもあとから相談した弁護士のほうがよさそうだということもあります。

 

そのときに、弁護士を変更できるかということが問題となります。

 

弁護士との契約は委任契約であり、民法上いつでも解約できることとなっています。

 

したがって、「弁護士に依頼してしまったのだから、弁護士を変えることは難しい」という選択肢④は誤りとなります。

 

弁護士を変えるときに、最初の弁護士に支払った着手金はどうなるか気になるところです。

 

弁護士は、依頼の途中で事件が終了したときに、費用をどのように清算するか報酬契約書に定めなければならないとされており、事件の進行状況に応じて清算しなければなりません。

 

したがって、「弁護士を変えることはできるけれども、支払った着手金は返してもらえない」という選択肢⑤は誤りで、「弁護士を変えることは可能で、着手金は、それまでに弁護士がやった分を差し引いて残りを返してもらえる」とする選択肢⑥が正解となります。

 

本件でいえば、まだ相談をして依頼をすることにしたばかりであれば何も事件処理をおこなっていない可能性はあります。

 

そうだとすれば清算金は0円で支払った着手金は全額返金されるか、引かれたとしても、少ない金額で済むと思います。

 

以上のことから、本件では、正解は選択肢①②③⑥が正解となります。

 

弁護士に依頼したこと自体が初めてなのに、依頼した弁護士を変えるなんてなかなかないことだとは思います。しかし、遺産分割に関する事件は解決までの時間も長く、金額が大きいことも多いことから、弁護士によって時間や金額、解決までの打ち合わせや報告などが変わってくる可能性もあります。このまま進んでしまうとまずいかもしれないと思ったら勇気を出してほかの弁護士に相談し、弁護士を変えるのも1つの方法となります。

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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