(画像はイメージです/PIXTA)

相続トラブルがこじれると、最終的には弁護士に依頼し、解決を図ることになります。しかし、弁護士への依頼は多くの方にとって「非常事態」です。時間や予算の問題もあり、疑問や不安を言い出せないまま、納得できない着地となる場合もあります。それを防ぐには、どう対応したらいいのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

成り行き任せは後悔のもと、ほかの弁護士にも当たろう

相続でトラブルになった場合、多くの方は弁護士に相談すると思います。相続については、税理士や司法書士、行政書士、その他の民間の資格など名乗っている方もいますが、トラブルとなっている相続について、お金を取って相談に乗ったり、代理人となったりすることができるのは、弁護士だけですのでお気をつけてください。

 

さて今回は、税理士の紹介で弁護士に依頼したものの、自分の主張したいことについてあまり説明もなく、請求してくれない弁護士に依頼したままでいいのか、というケースです。

 

まず、弁護士をどうするかを考える前提として、遺言無効を主張せずに、遺留分を請求したらどうなるかについて検討してみましょう。

 

遺留分侵害額請求は、遺言が有効であることを前提とする請求となります。

 

そこで、遺言無効を主張せずに遺留分だけ請求すれば、遺言を有効であると認めてしまうこととなり、あとから遺言の無効を争うことが難しくなる可能性があります。

 

したがって、「遺言無効を主張せず、遺留分を請求してしまうと、あとで遺言無効を主張できない可能性がある」とする選択肢①は正解です。

 

そうなると、太郎さんは、いまの弁護士のまま遺留分侵害額請求をしてもらってしまっていいのか、悩みは大きくなります。

 

こういうケースでは、気にかかっていることがあるのであれば、その弁護士に聞いてみるのが一番です。気にかかることは依頼しようとしている弁護士、依頼した弁護士に率直に聞いてみましょう。

 

相続争いは長い時間がかかることも多く、本格的な争いはこれからで、相手の主張や裁判所の意見、依頼している弁護士の考え方など、気にかかっていることが聞けないようであれば、その弁護士と一緒になって問題や困難を乗り越えて解決していくことは難しいと思いますし、解決しても不満が残る可能性があります。弁護士に依頼するときは、みなさんが話しやすい弁護士を選ぶこともポイントの1つだと思います。

 

したがって、「その弁護士に遺言を無効だと主張することは難しいのか聞いてみる」とする選択肢②も正解です。

 

ただ、実際にその弁護士に聞いてみるということができない方も多いようです。そこで、そういう場合には、「ほかの弁護士に聞いてみる」という方法もあります。

 

本件でいうと、遺言無効について経験がなく、どうしたら遺言を無効とすることができるのかわからない弁護士もいます。

 

また、遺言無効は有効か無効かを判断するための資料を取り寄せ、その資料から遺言が有効か無効か判断することも時間や労力がかかりますし、そうしたとしても遺言を無効にすることは難しいことも多いです。

 

これに対し、遺留分侵害額請求をすることは、遺言無効に比べると、時間や労力はかからないことから、遺言無効については検討しないし、請求しないこととして、遺留分だけ請求するという弁護士もいます。

 

そこで、依頼しようとしている弁護士がそのような弁護士だとすると、遺言無効について聞いても、納得するような答えが返ってこない可能性があります。

 

したがって、その場合には、「ほかの弁護士に聞いてみる」ということとなります。

 

よって、「ほかの弁護士に遺言を無効だと主張できるのか確認してみる」という選択肢③も正解となります。

 

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