相続放棄の4つの注意点
相続放棄の5つのデメリットについて紹介しました。次に相続放棄を行う際の注意点について見ていきます。
相続放棄の申し立て期間は3ヵ月
相続放棄ができる期間は、相続権があることを知ったタイミングから3ヵ月以内であると民法で定められています。
期間の延長を行う場合も3ヵ月以内に行う必要があると定められており、その期間を超えてしまうと相続放棄が出来なくなるので注意が必要です。
勘違いされる方が多いのですが、相続放棄の期間は「亡くなってから3ヵ月以内」ではなく、「相続開始を知った日から3か月以内」です。
たとえば4月1日に亡くなり、1か月後の5月1日に自分に相続権があることを知った場合は、5月1日から3か月間が相続放棄を行える期間となります。
家庭裁判所で手続きしなければならない
相続放棄を申請する場合は亡くなった方の住民票の届けがあるエリアを管轄する家庭裁判所で「相続放棄の申述」を行う必要があります。
反対に相続を承認する際は申請をする必要はありません。
相続放棄しても「管理義務」が残る
相続放棄を行った場合でも、次の財産管理者が確定するまでは土地建物といった遺産の管理を行わなければなりません。
これを管理義務といい、相続人が全員相続放棄をした場合にも、家庭裁判所で「相続財産管理人」が選ばれるまでは、財産の管理義務は継続されます。
この管理義務期間中に空き家が倒壊し、近隣住宅や通行人に被害を与えてしまうと相続人として管理責任を追及され、損害賠償を請求される場合があるので注意が必要です。
相続放棄をした後でも次の管理者が決まるまでは、管理責任があるということを覚えておきましょう。
生前の相続放棄は行えない
相続する意思がなくても、相続開始前に相続放棄を行うことはできません。
これは民法において下記のように定められています。
民法 第915条
① 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
② 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
たとえば、生前に借金が多いという理由で相続放棄を行ったとしましょう。
借金が多いまま亡くなってしまった場合は問題になりませんが、故人が生前に借金を返済し財産が残っている場合ですと相続放棄したことを後悔してしまう可能性があるからです。
そうならないように、相続人はその人がなくなって相続を開始してから財産状況を調査し放棄するか判断しなさいとしています。
借金が理由の相続放棄なら限定承認という方法も
相続放棄は前述でも紹介したように、財産も負債もすべての遺産を相続できません。
対して限定承認は負債を資産で相殺し、遺産がプラスになった場合のみに相続することが可能です。
借金が理由で相続放棄を考えているならば、遺産がプラスになれば相続することができる限定承認も方法の1つといえるでしょう。
しかし限定承認を行う場合は、相続人全員の同意をもらう必要があり、相続人の1人でも同意をもらえないと手続きが行えません。申請に手間と労力がかかる方法です。
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