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相続とは故人の財産を特定の人物が引き継ぐことをいいます。ただし相続は財産だけでなく、借金といった負債も相続してしまうため、あまりにも多額な負債の場合は、相続権の放棄をすることも可能です。一方で相続放棄で生じるデメリットも。みていきましょう。

相続放棄の短所と注意点について専門家が解説

相続とは故人の財産を特定の人物が引き継ぐことをいいます。

 

ただし相続は財産だけでなく、借金といった負債も相続してしまうため、あまりにも多額な負債の場合は、相続権の放棄をすることも可能です。これを相続放棄といいます。

相続放棄で生じる5つのデメリット

負債の相続を回避できる一方で、相続放棄には様々なデメリットが存在します。

 

  • 遺産のすべてを相続できなくなる
  • 相続権が次の相続権者に移行してトラブルになりかねない
  • 生命保険金・死亡退職金の非課税枠の使用ができない
  • 相続放棄した場合は原則として撤回できない
  • 遺産に手を出すと相続放棄ができない

 

それが上記5つのデメリットです。どのようなものなのか、1つずつ解説していきます。

 

遺産のすべてを相続できなくなる

相続放棄を行ってしまうと、文字通り相続する権利を放棄しますので相続人ではなくなります。そうすると、借金といった負債だけでなく、財産といった故人のすべての遺産を相続することができません。

 

負債を背負いたくないという理由だけで相続放棄を行うと、財産も相続できなくなるので十分に検討する必要があります。

 

相続権が次の相続権者に移行してトラブルになりかねない

あなたが相続権を放棄したからといって、故人の負債が消えるわけではありません。

 

たとえば父を早くに亡くし、最後の肉親である母が多額の負債を残して亡くなったとしましょう。子供は自分だけという状態で相続放棄をした場合、祖父母が存命であれば祖父母に相続権が移行します。

 

仮に祖父母が相続放棄をすると、相続権は母の兄弟つまり叔父・叔母に相続権が移行するというように相続放棄をすると相続順位に沿って相続人が変化します。

 

気を付けないといけないのは、何の相談もないまま相続放棄を行い、親戚が経緯を知らないまま相続放棄をせずに負債を背負ってしまう場合です。

 

最悪の場合、トラブルに発展してしまうのでトラブルを避けるためにも相続放棄を行う際はしっかりと親戚内で相談しておくことが大切です。

 

生命保険金・死亡退職金の非課税枠の使用ができない

故人が生前に死亡保険を契約していたとしましょう。死亡保険金は受取人の財産となるため受取人が相続放棄した場合でも死亡保険金を受け取ることが可能です。

 

ただし、契約者と被保険者が同じ人の場合は、これがみなし相続財産となり、相続税の課税対象となります。この時、生命保険金(死亡退職金についても同様)には、「500万円×法定相続人の数(相続放棄をする前)」の非課税枠が設けられています。

 

仮に相続人数が3人いた場合は、「500万人×3人=1,500万円」となり、1,500万円分は非課税となりますが、相続放棄を行うと相続人ではなくなるので非課税枠の適用外となり利用することができません。

 

その場合は遺贈に分類され相続税がかかってしまうので注意が必要です。

 

相続放棄した場合は原則として撤回できない

一度、相続放棄が受理されると強要されて相続を放棄したといった場合を除き、原則として撤回することができません。

 

つまり相続放棄をしたあとに、負債以上の財産があることが発覚しても相続人にはなれないということです。

 

そういったことにならないように、相続放棄を行う前には総資産をしっかりと調査し、その上で相続放棄を行うのか判断することが大切です。

 

遺産に手を出すと相続放棄ができない

  • 預貯金を引き出して利用・自分の口座へ入金した場合
  • 預金を解約して自分名義に変更した場合
  • 管理していた不動産の賃料の振込みを自分の口座へ変更した場合

 

亡くなったからといって、上記のように財産に手を付けたり、自分の名義に変更すると、その時点で相続することを認めたと見なされて、相続放棄ができなくなってしまいます。

 

また形見分けや遺品整理という名目で衣類などを他人に譲渡するなど財産の処分を行った場合でも相続放棄ができない場合がありますので注意が必要です。

 

知らなかったというのは通用しませんので、総資産の調査前や相続放棄を行うかどうか決めかねている場合は財産には手をつけないようにしましょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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