二行目は信金への定期積金で、預金担保融資を引き出す
■パイプづくりとして「定期積金」に加入
定期積金とは、信用金庫、信用組合などで主に取り扱われており、定期的に掛金を払い込み、満期にまとまった給付契約金を受け取れる積み立て型の金融商品です。
本来、毎月、計画的に一定額を積み立て、それぞれの用途に合わせた目標額の達成を目指すために活用する商品ですが、その預金を担保に融資を受ける方法が「預金担保融資」と呼ばれるものです。
実は私の会社でも、この「預金担保融資」を利用しました。
創業してすぐに興産信用金庫で定期積金を毎月10万円でスタートし、5ヵ月を経て50万円が貯まったタイミングで、「定期積金を担保に融資を受けませんか?」という提案を信金サイドから受けたのです。
■「50万円の預金担保融資」で「500万円の保証付融資」の引出しに成功
創業して間もない会社に、このような提案があったのには、信金サイドにもメリットがあるからです。
信金の担当者は、四半期ごと、つまり3月、6月、9月、12月ごとに、「預金残高」「貸付残高」「新規獲得数」などのノルマを達成する必要があります。
預金担保融資は、定期積金という商品販売による「預金残高」の増加とともに、「貸付残高」の増加にもつながる、担当者にとってノルマ達成にうってつけの商品といえます。
また、定期積金が担保になるので、信金サイドにリスクはありません。積立金額と同額程度の融資ならば、問題なくすぐに審査が通ります。
私の会社でも信金の担当者から提案があった6日後には、定期積金の額と同じ、50万円の融資が実行されました。
では、借りるほうにはどんなメリットがあるのでしょうか。積金額と同じ額の融資では、「意味がないどころか、利息を払う分損するのでは」と思われるかもしれません。
しかし、“エビで鯛を釣る”ではありませんが、スモールステップで関係をつくっておくことが、将来の融資の大きな布石にもなり得ます。
私の会社では、50万円の預金担保融資を実践することで、創業2期決算終了後に同じ信金に融資を申し込んだところ、信用保証協会を通じて500万円の保証協会付融資を受けることができました。
500万円の融資に成功したのは、もちろん決算が良かったということが大前提にありますが、そもそも何の取引もなければ、スムーズにはいかなかったでしょう。これも定期積金を担保に融資を受け、きっちり返済を実施することで、借入実績と返済実績、担当者との信頼関係を構築してきたからこその成果です。
一般的に公庫より、信用金庫のほうが関係性を構築するのはハードルが高くなるため、パイプづくりとともにお金のムダ遣いを減らすうえでもやっておいて損はありません。
私の場合は、創業して1年半で預金担保融資を実施しましたが、創業1~2年目に、二行目、三行目のパイプづくりをするうえでも大いに活用できる方法だと思います。
信金担当者との信頼関係を戦略的に築くコツ
■担当者の成績アップに協力し、win-winを目指す
すでに付き合いのある信金の担当者から、ノルマ達成のために定期積金の契約を依頼されることもあります。もし資金繰りに問題がなければ、金融機関の担当者の申し入れに対し、定期積金のほかにも、給与振込、保険、投資信託、外貨預金などの取引で、成績アップに協力することも、会社の財布を預かる社長のたしなみともいえます。その後の融資、かつ、プロパー融資のステージに上がった際の金利交渉を有利に運ぶ材料にもなります。
私もムリのない範囲で、担当者からの申し入れがあれば、クレジットカードの加入、投資信託などの金融商品の購入に協力しています。
また、ホームページに掲載されているキャンペーン情報などもまめにチェックし、金融機関が勧めたい商品について知っておくことも、関係構築の潤滑油になります。融資の交渉を有利に進めるうえでも、金融機関とは戦略的にwin-winの関係を築いていきましょう。
田原 広一
株式会社SoLabo 代表取締役
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