インフレ抑制の「タカ派姿勢」を強める豪州準備銀行

本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が5月10日に配信したレポートを転載したものです。

RBAは市場予想を上回る0.25%の利上げを決定

■本記事のポイント

 

・豪州準備銀行(RBA)は市場予想を上回る0.25%の利上げを決定しました。この背景には、インフレ加速と労働市場の改善があり、RBAはインフレ抑制のタカ派姿勢を強め、追加利上げの可能性を示唆しています。先物市場はRBAの大幅な利上げを織り込みました。

 

・RBAは豪州経済の先行きに前向きな見方を維持し、コロナ問題の終息によって豪州経済は順調な回復基調になりました。豪ドル相場は世界的なリスクオフにより足元で弱含むも、高水準の資源価格との比較ではなお見直しの余地が残っています。

 

豪州準備銀行(RBA)は5月3日の理事会で、市場予想を上回る0.25%の利上げ(0.10%→0.35%)を決定しました[図表1]。RBAの利上げは2010年11月以来となります。

 

[図表1]豪州準備銀行(RBA)の政策金利と先物金利

 

当初、RBAによる利上げ転換の時期は6月理事会との見方が大勢でしたが、4月27日公表の1~3月期の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回るインフレの加速を示したことで、RBAは早期の利上げに踏み切ったとみられます。

利上げの背景にあるインフレと労働市場の改善

RBAの声明文[図表2]では、インフレ率の上昇は主に世界的な要因によるものとの見方を示しながら、国内での労働市場のひっ迫などから広範囲にインフレ圧力が高まりつつある点も指摘されています。

 

[図表2]5月3日の豪州準備銀行(RBA)理事会の声明文要旨

 

今回、RBAの経済予測では、インフレ見通しが大幅に上方修正され、基調インフレ率は2023年までインフレ目標を上回る予想が示されました[図表3上段]。また、RBA予想では、失業率は直近3月の4.0%から2023年初までに3.5%近辺へ低下が見込まれています[図表3下段]。

 

[図表3]RBAによる基調インフレ率と失業率の予想

 

RBAは完全雇用に向かう労働市場の進展と、インフレおよび賃上げの広がりを考慮し、コロナ禍に導入した超金融緩和策の一部を解除することが適切との判断を示しました。

RBAはタカ派姿勢を強め、追加利上げを示唆

また、RBAは先行きの金融政策のガイダンスの点でも、インフレ抑制のためのタカ派姿勢を強め、今後一定期間の追加利上げの可能性を示唆しました。

 

金利先物市場では、2022年末には政策金利が3%近辺へ大きく引き上げられる可能性が織り込まれています。一方、豪大手銀行のエコノミストの見方では、2022年末の政策金利は1%台半ば(1.35~1.75%)と予想されており、今後はRBAの利上げペースの行方が焦点となりそうです。

 

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フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社 シニア リサーチ アナリスト

日本証券アナリスト協会認定アナリスト
日系運用会社に入社後、日系大手証券会社、シンクタンクなどを経て、約20年超にわたり一貫して海外経済および不動産市場の調査・研究業務(エコノミスト、ストラテジスト、研究員)に従事。2013年にレッグ・メイソン・アセット・マネジメント(現フランクリン・テンプルトン・ジャパン)に入社。米国や豪州、ブラジルなどをはじめ世界の投資環境に関する情報提供を担う。

著者紹介

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