TSMCの圧倒的存在力を示す3つのエビデンス
TSMCの圧倒的技術力を示すエピソードは枚挙にいとまはない。
AMDのインテル追撃はTSMCによって可能に
かつてパソコン用マイクロプロセッサーはインテルが圧倒的に支配、日本電気の対抗製品Vシリーズが貿易摩擦で敗退して以降、独占を避けるための唯一の(市場シェア1割程度の)限界供給者としてAMDは存在し続けた。
そのAMDが急成長し時価総額では1,455億ドルとインテル(時価総額1,838億ドル)に肉薄している。その秘密はTSMCにある。2009年AMDは製造部門を受託生産会社グローバルファンドリーとして分離し、自社製品の生産はTSMCに依存する体制にした。
その結果TSMCの先端技術での先行の恩恵を受け、マイクロプロセッサーの価格性能競争力でもインテルを凌駕し、一気にシェアを高めてきたのである。2021年の売り上げ増加率は65%と業界ナンバーワン、-1%で低迷するインテルを引き離している。分離した製造部門グローバルファンドリーと時価総額を足し合わせれば、ほぼインテルと同規模になっている。
インテルも最先端半導体供給をTSMCに依存
「米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は今月7日、プライベートジェット機で台湾を訪れた。報道陣をほぼ完全にシャットアウトしたお忍びの訪問だったが、狙いは明確。3ナノ品や2ナノ品の調達についての交渉だったとされる。ゲルシンガー氏の台湾訪問は、昨年12月にもあった。トップ自ら台湾に乗り込み、TSMC首脳陣に直談判する形で先端半導体の供給を懇願した(関係筋)という。」(日経新聞4月15日付)
台湾で半導体設計企業急成長、それもTSMCがあったればこそ
半導体業界はインテル、サムスンなどのIDM(垂直統合デバイス企業)と設計のみを行うファブレス企業、およびTSMCなどの受託生産企業(ファンドリー)に分業化され、最も成長力が高いのがファブレス企業というものが常識化している。
エヌビディア、ブロードコム、クアルコム、メディアテックなど高成長組はすべてこのカテゴリーである。しかしファブレス企業の競争力の源泉がTSMCの優れた生産能力にあることが、徐々にはっきりしてきた。
[図表3]にみるようにファブレス企業は最先端デバイス生産をすべてTSMCに依存しており、両者には強い相互依存関係があることがわかる。さらに驚くべきことに、成長しているファブレス企業の大半は台湾人が経営を担っている。
[図表4]にみるように、ファブレス企業トップテンのうち台湾系は10年前の2011年には2人だけであったが、2021年には7人に達している。TSMCを頂点とする半導体産業ピラミッドが形成されている、とすらみられる状況である。ハイテクの中心はソフトシステムではなく、コチコチのハードウェア企業TSMCなのである。
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