子供の手が離れたら、妻も働きに出る方法を考えたほうがいい。なぜなら、2人で働かないと、豊かな人生が送れない時代になってきているからです。妻が働くことの大切さは、お金を稼いで家計を楽にするだけではありません。経済ジャーナリストの荻原博子氏が著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)で解説します。

妻も働けば、老後の「年金」が増えるが…

今まで子育てと家事に専念してきた妻にとって、「働きに出る」ことは未知の領域です。自分の母親も専業主婦だったら、身近に参考になる人もいない。

 

ですから、いきなり「働く」というのには戸惑いも多いことでしょう。

 

まずは、働く「目標」を持ちましょう。

 

目標を持ちましょうと言うと、「お菓子づくりが好きだから自分の店を持ちたい」とか、「お料理が得意なので、お料理教室をやりたい」というような夢を目標にしがち。

 

けれど、今まで外で働いたことがない人だと、よほどお金を持っているか、手伝ってくれるパートナーがいないと、こうした漠然とした夢を現実に叶えるのは難しい。ですから、目標を、「稼ぐ」というところに置いたほうが現実的です。

 

たとえば、58ページで「資産の棚卸し」をし、住宅ローンがまだたくさん残っているとしたら、それをいつまでに返すのか、そのためには毎月どれくらい稼がなくてはいけないかといった目標を立て、パートで稼いだお金をそこにあてる。

 

こうして、自分の働きで住宅ローンの残高が着々と減っていくのを見れば、夫も評価してくれますから、多少嫌なことがあっても働き続けられるのではないでしょうか。

 

■かつての「103万円の壁」は「150万円の壁」になった

 

妻がパートで働く時には、気をつけなくてはいけないことがあります。

 

以前は、サラリーマンの妻や青色申告、白色申告の事業従事者でない自営業者の妻は、年収が103万円以下なら、夫の所得から38万円の配偶者控除を差し引くことができ、141万円までなら配偶者特別控除も使えました。

 

しかも、年収が103万円になると、所得税も支払わなくてはならないので、「収入は103万円にならないように働く」という人が多くいました。

 

そこで「103万円の壁」という言葉がありましたが、この「103万円の壁」が、2018年から、150万円まで大幅に上がりました。

 

そこまで稼いでも、夫には38万円の配偶者控除、配偶者特別控除がつくようになったからです。さらに、150万円を超えても、201万円以下なら、配偶者特別控除がつくようになりました(ただし、夫の年収1220万円まで)。

 

■「130万円の壁」の正体は、社会保険料

 

サラリーマンの妻が働くなら、「150万円の壁」の前に「130万円の壁」が大きくそびえています。これは、税金ではなく、社会保険料の壁です。

 

自営業者の妻は、もともと自分で国民年金、国民健康保険の保険料を支払っていますが、サラリーマンの妻は、パートの収入が129万9999円までなら夫の扶養に入っているので、国民年金、健康保険の保険料は、自分では一銭も支払わなくても、病気や怪我をしたら健康保険が使えるし、将来は、年金をもらうことができます。

 

ところが、この妻の収入が130万円になったとたんに、それまで払わなくてもよかった約25万円の国民年金保険料、健康保険料などを、自分で支払わなくてはならなくなります。そうなると、実質的な手取りが減ってしまうことになります。

 

もう一つ、2016年10月からは、パートでも週20時間以上、賃金8万8000円以上(年収約106万円以上)、勤務期間が1年以上の人は、会社の社会保険に入らなくてはならなくなりました。

 

2016年のスタート時点での対象は、従業員501人以上の企業でしたが、2022年10月からは従業員数101人以上の企業が対象になります。さらに、2024年10月からは51人以上の会社が対象になります。

 

会社の社会保険制度に加入すれば、将来もらえる年金額が増えるし、病気や怪我で休んでも手厚い保障があります。ただ、そのぶん、給料から保険料を差し引かれるので、手取り額は減ることを覚えておきましょう。

 

荻原 博子
経済ジャーナリスト

本連載は荻原博子氏の著書『知らないとヤバい老後のお金戦略50』(祥伝社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないとヤバい老後のお金戦略50

知らないとヤバい老後のお金戦略50

荻原 博子

祥伝社

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