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「働けない自分」の気持ちを切り替える
70歳まで働く時代になりつつあります。
日本中が新型コロナで大騒ぎになっていた2020年3月、「高年齢者雇用安定法」の改正法が賛成多数で可決・成立しました。これに従って、2021年4月から、企業の努力義務ではありますが、本人が望めば会社は70歳まで雇うことになりました。
さらに、「75歳まで繰下げ受給できる」という制度も2022年4月からスタートしています。年金70歳支給を前提とした改正です。
加えて、60歳から64歳までは年金と給料の合計が月額28万円を超えると年金がカットされましたが、同じく2022年4月からは、47万円までならカットされなくなりました。
ただ、「この会社で70歳まで働くのか」と思うと、気持ちがふさぐ方も多いはず。今まで、会社でもバリバリ働いて先陣を切っていた。
けれど、50代になって役職定年になると、第一線の仕事から外れ、後輩たちも役職を解かれた自分に気を使う。60歳を過ぎて定年延長で会社に通ってくる先輩を見ていると、給料は激減し、「気楽でいい」と笑いながらも、仕事仲間から声をかけられることが徐々に減っていってなんとなく寂しそうに見える。
■50代は心の立て直しを第一に考える
50代になると、会社では役職定年になるところが多く、更年期障害での筋力低下、疲労感も重なって、重いどんよりとした気持ちになりがち。人生を前向きに考えられなくなってしまうという方が意外に多いようです。
しかも、大きな企業ほど幹部候補生とそうでない人が50歳から55歳までのあいだにはっきりと分かれ、幹部候補生でない人は、いつでもやめていいよと言わんばかりに、片道切符で子会社に出向になったり、会社に残っても給料が激減します。
そうなると、心が鬱々として沈む。心が沈むと、体も機敏に動かないし、気が滅入って、食欲もなくなり、眠れなくなり、心も体も常に重くだるくなるという悪循環に陥ります。こうしたことから、「うつ病」に陥っていく人は少なくないのだそうです。
長年かけてキャリアを積み上げてきたのに、役職定年で精神的にも肉体的にもダメージを受け、プライドもズタズタになって疲労感だけが蓄積し、「もう、働きたくない」ということになる。
そこから抜け出すには、まず、心から立て直しましょう。
■会社はあなたの「愛社精神」に報いてくれない
どんなに偉くても金持ちでも、いつかは死にます。
「人生100年」と言いますが、健康で生きられる期間は、意外と短い。介護が必要なく生活できる「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳。50歳を過ぎた男性なら、約20年間ですから、そこをどうやって楽しく暮らすかを考えれば、くよくよ悩んでいる時間はないでしょう。
会社で先が見えてしまい、辛い気持ちになっている人は、今までの自分を振り返り、なぜ、疲れ切るまでこんなに頑張ってきたのかを考えてみましょう。
「愛社精神」だけでなく、「他人に後ろ指をさされたくない」「自分は有能で誰よりも仕事ができる」、そんなプライドが、支えになっていたのではないでしょうか。
けれど、会社で働くことが重荷になってきているとしたら、「愛社精神」も「プライド」も捨てたほうがいい。
会社は、あなたの「愛社精神」に報いてくれるでしょうか。
会社というのは、利益追求のための組織です。もし、会社があなたの「愛社精神」に報いてくれるとしたら、給料がもっと上がっているはずでしょう。
会社は、あなたが居ないと仕事が回らなくなるでしょうか。たぶん、あなたが辞めても、他の人があなたの代わりに充分に穴埋めをしていく。組織とは、そういうもの。だとしたら、そんな会社を、あなたが「クビ!」にしてもいいのです。