無念…義母の死後もつきまとう「長男の嫁だから」
葬儀のあと、喪主のYさんをはじめ3兄弟が実家に集まり、相続についての話し合いが行われました。
次男「俺明日の始発の便で戻るからさあ、こういうのはさっさと決めようぜ」
Y「だな。まず、母さんが遺したのはこの家」
三男「まあ~ボロいから金にならんだろうな」
Yさん「そんなこと言うなよ(笑) まあ、評価はたかがしれてると思うけど」
次男「今まで兄貴たちが住んでいたんだし、これからも頼むよ。俺はあっちに家あるし」
Y「それもそうだな……わかった」
ここまでは比較的和やかに会話が進んでいたものの、次男のひと言をきっかけに、兄弟間での「争族」が勃発することとなりました。
次男「それで? 現金はどれくらいあるんだよ。確か父さんが亡くなったとき、母さんにはまとまった金額が入っていたはずだろう」
Y「まあ、そうだな。認知症になってから介護費用にいくらか使っていたんだけど、預貯金がだいたい3,300万円ある」
次男「ということは、ちょうど1人1,100万円か。わかりやすくて良かった」
Y「え? ちょっと待てよ」
三男「ん? なんだよ兄さん」
Y「母さんの面倒は、ずっと俺たち夫婦で看てきたんだから、三等分は不公平だろう」
次男「いや、兄貴はなにもしてなかったって聞いたぞ」
三男「そうだよ、実際に面倒をみていたのはAさんだったじゃないか」
Y「ま、まあ俺は確かに忙しかったから……で、でも、Aが面倒見ていた分、遺産を多くもらえるのは当然だろう」
次男「でもAさんは相続人じゃないだろう。いくらお金が欲しいからって、突然意味が分からないこと言うなよ」
三男「そうだよ。それにAさんだって、兄さんと結婚するっていうことは長男の嫁になるってことなんだから、母さんの面倒を看るのは当たり前でしょ」
次男と三男の言葉に、Aさんは絶句。自分がどんなに大変な思いをしても、彼らは「長男の嫁だから」で片づけようとしているのです。
長男「ふざけるな! Aがどれだけ大変な思いで母さんの面倒を看てくれたと思っているんだ」
次男「そんなに大変そうだったのなら兄貴が手伝ってやればよかったじゃないか」
――3人兄弟の言い争いは夜通し続き、最終的にAさんの苦労は、やはり「長男の嫁だから当然だ」という理由で認められず、遺産は三等分にされることとなりました。