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「円安阻止介入」について考える
ところで、冒頭でも述べたように、先週一時米ドル反落となったのは、日米協調介入に関する一部報道がきっかけでした。そこで、改めて円安阻止の為替介入について基本的なことを少し確認してみたいと思います。
昨年1月の102円から先週の129円まで、米ドル高・円安が続いてきました。日本でも物価高、インフレへの懸念が強まるなかで、円安といった為替相場の下落は輸入物価上昇をもたらすことから、日本経済にとっての「悪い円安」との声が増えてきました。
ただし、最近にかけて主要通貨に対してはほぼ米ドル全面高となっているなかで、インフレ下で悪影響が懸念される為替相場の下落が起こっているのは日本だけではありません。対米ドルでは円安だけでなく、ユーロ安、英ポンド安、豪ドル安でもあります。
こんなふうに、インフレ下で米ドル以外の先進国通貨の多くが下落、つまり通貨安となっていますが、そのなかで注目されるのは、通貨安の「程度」には差があるということです。
たとえば、米ドル/円の5年MAかい離率は足元でプラス20%近くまで拡大してきました(図表4参照)。経験的には、米ドル高・円安の「行き過ぎ」懸念が高まってきたことがわかるでしょう。
これに対して、ユーロ/米ドルの5年MAかい離率は、まだマイナス10%にも至らない程度にとどまっています(図表5参照)。これを見る限り、ユーロ安・米ドル高の「行き過ぎ」懸念はまだそれほど強いわけではなさそうです。
以上のように見ると、インフレ下で経済への悪影響が懸念される通貨安ではあるものの、円安とユーロ安では程度差がかなりあるといえるのではないでしょうか。
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