〈Dブロック〉大株主と持株比率
最後にDブロック。【株主】には株主構成が書かれています。誰が、どれくらいその企業の株をもっているかを示しています。
じつは、Dは最近になって追加した重要なブロックです。私は以前からA、B、E、J、N(アベジャパン)の5ブロックが重要と考え、主宰する複眼経済塾でも、5ブロックの読み方を重点的に伝えてきました。しかし、中小型成長株の分析を進めていくなかで、あることに気づきました。それは、「大化けする株はオーナー企業が多い」ということ。
オーナー企業とは、【役員】欄の社長、会長が筆頭株主など大株主となっている企業。
つまりトップが企業を所有(株主)し、経営(経営者)していることです。トップが両方から影響力を発揮し、大胆な判断や素早い行動ができるため、そこに注目することが大化け株の発見につながるのではないかと考えて、Dブロックを重要ブロックに追加しました(※ただし四季報オンラインのスクリーニング機能ではオーナー企業の判定はできないので、気になる企業のDブロックを1つずつ確認する必要があります)。
株は「自力で有望株を見つけられるか否か」が勝負
以上が、6つのブロックに注目した四季報の読み方の基本です。細かくて複雑に見える四季報の誌面ですが、これで、どこに何が書いてあるか、どこを重点的に見ればよいかがわかりました。自力で有望企業の株を見つける素地ができたということです。じつは、株でうまくいかない人の大半はこの素地がありません。
株は、自分で探し、自分で調べて、納得できたときに買うのが大原則。得するのも損するのも自分ですから、信じてよいのは自分だけ。突き詰めていえば、証券会社の推奨も株サイトのおすすめも、見知らぬ他人が発信している情報。私が著書で分析した株についても、私が分析して買えそうだと判定した株を紹介しているだけで、推奨するつもりはありませんし、自分で納得できるものでなければ絶対に買ってはいけません。
しかし、実際はどうかというと、多くの人が「あの人が推奨していたから」「知り合いにすすめられたから」「話題だから」といった理由で、何十万円、何百万円もする株を買ってしまうのです。これは株特有の現象です。
私たちは数十万円のお金を使うとき、たとえば、家電を買うときは、買う前にカタログを取り寄せ、比較サイトで複数の商品を比べ、スペックを調べます。さらに、口コミ情報を読んだり、安くなるのを待ったりすることもあります。
100万円を超える買い物をするとき、たとえば、車を買うときはより真剣に考えます。「あの人がすすめていたから」という理由だけで買う人はいないでしょうし、自分でカタログを読み込み、試乗して、「これしかない!」という気持ちで、長く乗ることを想定して、ようやく購入を判断します。
株を買うときにも、十分に調べて買うべきです。
重要なのはしっかりとプロセスを踏むこと。そのプロセスの第一歩が四季報の読み方を知ることなのです。
紙媒体(紙版)の四季報ではなく、ネットで四季報オンラインを使う人も多いかもしれません。四季報オンラインは紙版と比べると、各ブロックの配置が縦スクロールになっている、業績予想の修正記号などが載っていないといった違いはありますが、掲載されている情報は基本的に同じです。重点的に見る6つのブロックもオンラインで確認できます。
渡部 清二
複眼経済塾 代表取締役塾長
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