「公務員志望者の割合」は22年卒でようやく微増
株式会社マイナビの『マイナビ 2022年卒 公務員イメージ調査』によると、近年減少傾向にあった公務員志望者の割合は増加傾向に転じたとのこと。公務員を「考えている」と回答した22年卒は23.3%と、前年比で2.1ポイント増加しました。
さまざまな就職意識調査から、経済状況の悪化や大きな災害があると、「人のためになる仕事がしたい」という就職観が強まること、また、企業選択のポイントとして「安定している」が増加することがわかっています。コロナ禍で行われた株式会社マイナビの『2022年卒大学生就職意識調査』でも同様の傾向が見られ、特に「安定している」は2001年卒以降で過去最高になりました(図表1)。また22年卒には、地元や地域での就職を希望する人が多くなっているという特徴もあります。
ところが22年卒公務員志望者の「公務員になりたい理由」を見てみると、次の傾向が見られました(図表2)。
「社会的貢献度が高い」が38.2%と、前年比0.7ポイント上昇。
「地域に密着した仕事ができる」が33.2%と、前年比2.4ポイント上昇。
22年卒公務員志望者においても、社会貢献や地域・地元就労への関心が高まっていることがうかがえます。
しかし22年卒が特に重視する「安定している」は、22年卒公務員志望者においても確かに第1位ではあるものの、前年比で13.1ポイントも減少。安定性は公務員になる最大のメリットといっても過言ではありません。ところが同じ公務員志望者で比較しても、22年卒はここ数年間で最も低い数値となりました(図表3)。就活生全体では安定志向が高まっているにもかかわらず、それに逆行する形です。
図表2・3を見比べても、22年卒では、公務員の「勝ち組」たるゆえん、「安定性、充実した休日・福利厚生、給与・待遇の良さ」がことごとく減少していることがわかります。
22年卒調査においてようやく増加に転じた公務員志望割合ですが、コロナ禍が収束すれば再び減少傾向に戻る可能性も考えられます。
若者にとって「公務員=勝ち組」ではない?
2021年の国家公務員採用試験では、最難関の総合職でさえ競争率「7.8倍」と過去最低を記録しました。これに対し当時の加藤勝信官房長官が「危機感を持っている」と発言し、減少の要因として「長時間勤務の実態などがある」と指摘したことが話題になりました。
ニュースなどによって公務員の実情が明るみに出るにつれ、若者から「公務員=勝ち組」の印象が薄れているのかもしれません。
実際、人事院が令和3年度に就職活動を終えた学生に「職業として国家公務員を選ばなかった理由」を調査したところ、「超過勤務や深夜・早朝に及ぶ勤務が多そう」「プライベートや育児・介護等との両立が困難そう」など、業務内容や勤務環境に関する項目を挙げる者が6割前後という結果になったといいます。
ただ、一方で人事院は『令和3年 人事院勧告・報告について』の中で、さまざまな改善策を挙げています。
たとえば今後の給与制度見直しとして、「能力・実績を的確に反映させつつ60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、人事評価制度の改正を踏まえた昇格、昇給等の基準の整備を始めとして、順次取組」としています。
また、現状の課題認識と対応策の中では、長時間労働の是正や、妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援として「不妊治療のための有給」や「配偶者出産休暇・育児参加のための有給」を新設するなど、ワークライフバランスを重視した方策なども挙げています。
国は、公務員となる人材の確保を「喫緊の課題」としています。対応すべき問題は山積みですが、順次推進せざるを得ないでしょう。労働環境を改善し、「勝ち組」の実態を取り戻すことができるのか否か。今後の動向に注目です。
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