(※画像はイメージです/PIXTA)

2022年4月20日に1ドル=129.43円を記録し、未曽有の円安危機を迎えた日本。日本が経験してきた過去の円安を振り返り、近年の円安による物価上昇の仕組みを、データを交えて解説します。

「円安」による「物価上昇」、深刻な消費ブレーキ

日本はバブル絶頂期である1980年代には円安傾向にあり、バブルが崩壊した1991年を起点に、円高が始まった歴史があります。1994年には1ドル=100円まで落ち込み、不況の夜明けが見えない1995年には1ドル=80円を切るほどの円高を経験しました。

 

しかし時代は刻々と変化を続け、近年は円安=好景気とはいかなくなっています。2022年4月22日現在、円相場は2022年3月22日に1ドル=120円を突破して以降、一度も日の中心値が120円を切った日はありません。

 

4月に入ると、ますます円高は加速していき本日の22日は1ドル=128.65円を記録。2月末に始まったロシアのウクライナ侵攻を受けて実施された、各国のロシアに対する経済制裁の影響が如実に表れていると言えます。

 

2022年、現代を生きる我々にとって、円安は不況の枕詞になりつつあります。これまでと同じ価値のものをこれまでより高く購入することになる国内の輸入企業は、売値を高く設定することで利益率の低下を防ごうとします。

 

商品の市場競争が激しい場合には、出来る限りに避けたい策ですが、円安のように企業全般が不利益を被っている場合、最も選択されやすい策と言えます。

 

こうして物価はほぼ横並びに上昇していく一方、我々消費者の給料はそれに応じて増えていっていないため、消費(財およびサービス、以下同様)活動には当然ブレーキがかかります。

バブル期のようにはいかない…円安でも増えない輸出

円安は輸入で不利になる反面、持ち帰ったドルを日本円に換金する場合はお金が増えるため、輸出には有利になります。ではなぜ、輸出を増やすという策は積極的に実施されないのでしょうか。これは輸出企業が現地生産化を推進していることの影響があります。

 

輸出企業は近年、輸出に依存せず現地生産・現地消費をすることで為替レートに影響されない、経営体質への移行に力を入れる傾向が見られます。

 

為替レートによって損益が極端に変動したり、生産体制の組み直しなど対応に追われたりするのは企業にとって致命傷に成り得るからです。すなわち、バブル期のように、円安に突入すると輸出量が増えて好景気になる、という展開はなりにくいのです。

 

一方で、「輸入品の値段が高騰しているならば、値段が安定している国産品を買う」という動線が多く生まれれば、景気下降を免れる可能性が出てきます。

 

しかし、安倍元首相の「アベノミクス効果」により1ドル=100円近くの円安が生じた2013年にも、輸入量は減少しませんでした。これは、「値段の高騰を理由に国内の代替品を購入するくらいならば、購入を控える」という消費者傾向があること、さらに、そもそも野菜や肉など、国産品の方が値段設定の高いものも多い、という理由が挙げられます。

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