脱税した場合の「重すぎるペナルティ」
脱税をした場合に課されるペナルティは、非常に重いです。
このような重いリスクを背負わないためにも、NFTや暗号資産で利益を得た場合には、必ず期限までにきちんと申告と納税を行うようにしましょう。そして、利益を確定した際には、事前に納税分の金銭を残しておくなど、申告と納税を見据えた対応をしておくことが重要です。
脱税に対する主なペナルティは、次のとおりです。
1.無申告加算税や過少申告加算税、重加算税
無申告加算税とは、本来申告が必要であるにもかかわらず申告をしなかった場合、本来支払うべきであった税金に上乗せして課される税金です※。
※ 国税庁:加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf)
税務調査で無申告が指摘された場合の無申告加算税は、原則として、本来支払うべきであった税金の15%(50万円を超える部分に対しては、20%)の割合を乗じて計算した金額となっています。
また、これと似たものに過少申告加算税があります。過少申告加算税は、期限内に申告はしたものの実際よりも少なく申告をした場合に、本来支払うべきであった税金に上乗せして課される税金です。
税務調査で過少申告が指摘された場合の過少申告加算税は、原則として、追加で支払うべき税金の10%(新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%)となっています。
そして、無申告や過少申告が事実の仮装や隠蔽によるものであると判断された場合に、無申告加算税や過少申告加算税に代えて課されるものが重加算税です。
重加算税は、原則として過少申告の場合は35%、無申告の場合には40%と非常に重いものとなっています。
当然ながら、これらに加えて本来支払うべきであった分の税金も支払わなければなりません。
2.延滞税
申告期限後に追加で支払うべき税額が生じた場合には、過少申告加算税などに加えて延滞税を支払う必要があります。延滞税は、契約取引で言えば、いわば遅延利息に相当するものです※。
※ 国税庁:延滞税の計算方法(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm)
令和3年1月1日以後の期間に対応する延滞税の割合は、それぞれ次のとおりです。
・納期限までの期間及び納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までの期間相当分:年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
・納期限後2ヵ月を経過する日の翌日以後の期間相当分:年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合
当然ながら、本来の申告期限からかなりの期間が経過してから無申告や過少申告を指摘された場合には延滞税が高額となることもあるため注意が必要です。
3.懲役などの刑罰
脱税は、懲役などの刑罰の対象となる場合があります。刑罰は、それぞれ次のとおりです。
・正当な理由なく提出期限までに申告書を提出しなかった場合(無申告犯):1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・提出期限までに申告書を提出せず、税金の納付を免れた場合(無申告ほ脱犯):5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科
・偽りまたは不正な行為により、税金の納付を免れたり、税金の還付を受けた場合:10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科
脱税した場合にはこのような刑罰の対象になる可能性があることはよく知っておきましょう。
まとめ…NFTや暗号資産で利益を得たら、必ず適切な申告と納税を
NFTや暗号資産は当初、課税ルールを含めた取り扱いが曖昧なままでした。しかし、各国とも課税に関するルールが整備されつつあり、脱税防止策が強化されています。また、NFT自体に対する各種団体の自主規制や運用ガイドラインが整備されつつあります。
NFTや暗号資産で利益を得た場合には、必ず適切な申告と納税を行うようにしましょう。
西尾 公伸
Authense法律事務所弁護士
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