相続した不動産を現金化したい…売却するなら「不動産会社」「一般個人」どっちがいい?【司法書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

相続不動産を売却換価する場合、どこに売却するのがよいのでしょうか? 主な売却先としては、不動産会社と一般個人の2パターンです。ここでは、相続した不動産を不動産会社に買い取ってもらうときのメリット・デメリット、不動産会社に買い取ってもらうほうがよいケース、一般個人に売却するほうがよいケースについて、それぞれ見ていきましょう。司法書士法人さえき事務所所長・佐伯知哉氏が解説します。

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「相続した不動産を現金化したい」はよくある相談

不動産を相続したとき、現金化を望むケースが結構あります。私も相続手続きについてご相談いただく中で、「相続した不動産を売却して、お金に換えたいのですが…」というご質問をいただくことがよくあります。

 

相続した不動産を現金化したいケースとは、まずは相続税の納税資金にするためだったり、売却換価して相続人みんなで平等に相続するためであったり、不動産を相続してもそこに住む人がいないので維持管理の負担から逃れたい、などの場合です。こういったときに、お客さんから「不動産を現金に換えたい」というご要望が出てくることがあるのです。

 

不動産をお金に換えるとなると当然売却することになるのですが、その売却先の候補として挙げられるのが、「不動産会社(買い取り業者)」と「一般個人」の2パターンです。一般個人には、仲介業者を介して売却します。

 

本稿では、司法書士の目線から、不動産会社に売却する場合のメリット・デメリットについて解説します。不動産会社ではない第三者の視点から語ることで、中立的な立場でお話しできるかと思います。ご参考になれば幸いです。

不動産会社に買い取ってもらうメリット

さっそく、不動産会社に買い取ってもらう場合のメリットから見ていきましょう。

 

①短期間で売却可能

まず一つ目は、短期間で売却が可能ということです。一般個人に売る場合は買主の選定から始めなくてはならないため、やはり時間がかかります。不動産会社の場合はすでに買主が決まっており、金額の折り合いさえつけばその特定の人に買い取ってもらえるため、非常にスピーディに売却できるというわけです。

 

②周囲に知られることなく売却

二つ目は、売却を周囲に知られることがないということです。基本的に、不動産を売却して一般個人に買い取ってもらう場合は、買主を探すために広告を掲載したり、現地に売却中という看板を出したりすることになります。そうすると当然、近所の人には「この不動産、売りに出されているんだな」と知られてしまいますが、売却を望む人の中には、こうした事態を避けたいというご要望を持つ人もいます。不動産会社に買い取ってもらうのであれば、すでに特定の買主が決まっているため、広告活動をする必要がありません。周囲に知られる心配はないわけです。

 

③仲介手数料がかからない場合がある

三つ目は、仲介手数料がかからない場合があるということです。一般個人に買い取ってもらう場合、買主を広く探すとなればどうしても仲介業者に頼まざるを得ません。手数料として、売却価格の3%+6万円がかかってきます。一方、不動産会社に直接「買い取ってください」と話を持ちかければ仲介業者を挟まないため、仲介手数料がかからないケースもあります。

 

ただし、あくまで買主が不動産会社となっている場合でも、いろいろな不動産業者の中から買主を選びたいというケースであれば、仲介業者を通さなくてはなりません。そうすると仲介料がかかるということにはご留意ください。

 

④清掃やリフォームの手間がない

四つ目は、清掃やリフォームをする手間がないということです。建物だと、(なるべく高く売りたいということで)一般個人に売る場合、あえてリフォームしたり、綺麗に掃除したりなどして見栄えをよくしてあげないと売りにくくなるケースもあるのですが、プロである不動産業者に買い取ってもらう場合であれば、こうした手間をかける必要はありません。

 

⑤契約不適合責任を免責してもらえる

最後は、社会不適合責任を免責してもらえるということです。これはかなり大事です。契約不適合責任というのは、たとえば雨漏りなどがあった場合に、買主側から、雨漏りを修理してほしいといった修補請求や、損害賠償請求をされる可能性があります。不動産会社に買い取ってもらう場合、契約の内容によってこうした責任を免じてもらうことができます。

 

買主が一般個人の場合、契約不適合責任を免責にしてしまうと、買主側としてはやはり「後で責任を持ってもらえないのは…」と買い渋ってしまうことも珍しくありません。

 

一方、不動産会社であればプロなので、業者のほうでしっかりチェックし、契約不適合を免責の上で買い取ってもらえるというのは普通にあるケースで、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

不動産会社に買い取ってもらうデメリット

次に、不動産会社に買い取ってもらうデメリットについて見ていきましょう。これはただ一つ、売却価格が「一般個人に売却する場合の7~8割程度の金額になる」ということだけです。

 

買い取った不動産会社は当然、その建物をリフォームしたり、古い建物であればそれを解体して新しい建物を建てて売却したりなど、何かしら手を加えてどこかへ売り出します。自分が住むために買い取るわけではありません。転売して利益を得なくてはならないので、その利益分との差が買取り価格に表れます。一般個人に売る場合と比べてどうしても金額が低くなってしまうというのが、最大にして唯一のデメリットです。

不動産会社に買い取ってもらったほうがいいケース

ここまで不動産会社に買い取ってもらう場合のメリット、デメリットをお話ししました。不動産会社に売るのか一般個人に売るのかという選択は、それぞれを勘案した上で考えなくてはいけません。

 

ただ、不動産会社に買い取ってもらったほうがよいケースもあります。

 

①建物が古い(解体して更地にしないと売れない)

まず一つ目は、建物が古い場合です。これは契約不適合責任の問題です。古い建物だとどうしてもガタが来ていることが多いので、一般個人への売却(契約不適合責任を免責にしないような契約の場合)だと、損害賠償請求や修補請求をされる可能性が非常に高くなるからです。

 

または、建物を解体して更地にしないと売れない状態ということもあります。解体業者の手配などにかなり手間を要することがあるため、こういった場合には、不動産会社に買い取ってもらうほうが非常に楽です。

 

②相続人どうしの関係性が希薄

次に、相続人どうしの関係性が希薄である場合です。たとえば、亡くなった被相続人に子どもがおらず、被相続人のきょうだいや甥姪が相続人になっているようなケースであれば、相続人の数が多かったり、住んでいる場所がばらばらだったりして、相続人全員が足並みをそろえて同じ方向を向いて売却を進めるのが難しいこともあります。仲介業者に依頼して、一般個人の中から買主を見つけてもらって、決済をして…となると、かなりの大仕事です。そういったケースでは、不動産会社に買い取ってもらうほうが買主側でリードしてくれるので圧倒的に楽です。

 

③売却を急いでいる

次に、売却まで急ぐ場合です。相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に申告して、その後にすぐ納税までしなければいけません。そのため、相続税の納税資金の問題などにより売却までかなり急ぐケースがあります。不動産会社に買い取ってもらえば売却までスピーディに行けますから、売却まで急ぐ場合にも不動産会社を買主にしたほうがよいのではないかと思います。

 

④売却後に後腐れがないほうがいい

最後に、売却後に後腐れがないほうがいいと考える場合です。これは契約不適合責任と共通しますが、契約の中で契約不適合責任を免除してもらえるような不動産会社に買い取ってもらえば、売却した後は基本的に何もする必要はありません。売却した後に買主側から何かを言われるのは嫌だというのであれば、不動産会社を買主にすることでこうしたメリットもあるかと思います。

 

以上が、不動産会社に買い取ってもらうほうがいい場合です。

一般個人へ売却したほうがいいケース

次に、一般個人へ売却したほうがいい場合について見ていきましょう。

 

①築浅の物件

一つ目は、築浅の物件です。建物にガタが来ていないので、契約不適合責任が発生する可能性も低いかと思います。よって、一般個人に売却しても問題は起こりにくいかと思われます。

 

②人気エリアの物件

人気エリアの物件であれば買主がすぐに見つかりますし、高く売れます。仲介業者に依頼して手数料を払っても手残りの金額は大きいでしょう。このことから、人気エリアの物件であれば一般個人に売るほうがよいのではないかと思います。

 

③売却まで急がない

最後は、売却まで急がない場合です。どうしても急ぐ場合であれば不動産会社に買い取ってもらうほうがいいのですが、特に急がないというケースであれば、じっくり腰を据えて買主を選定できますから、一般個人に売却しても問題ないのではないかと思います。

司法書士が代理人となって売却することも可能

以上、相続した不動産を不動産会社に買い取ってもらう場合のメリット・デメリット、不動産会社に買い取ってもらうほうがいいケース、一般個人に売却するほうがいいケースについて解説しました。

 

不動産を相続したとき、司法書士が代理人として、相続人のかわりに売却することができます。売却先選びから契約、決済、売却代金の相続人への分配まで、司法書士がすべての手続きを行います。相続人の数が多かったり、どこの不動産会社を選べばいいのかわからなかったりなどというときには、司法書士にご相談いただければと思います。

 

【動画/相続した不動産を売却するなら不動産会社か一般個人どっちがいい?】

 

 

佐伯知哉

司法書士法人さえき事務所 所長

 

司法書士法人さえき事務所 所長 

大阪府出身。高知大学理学部卒。平成25年、町田に司法書士さえき事務所を開設。平成28年、南町田へ事務所を移転し現在に至る。主に相続関係の手続き、相続の生前対策(遺言・家族信託など)、不動産の登記、会社法人の登記を中心に業務を行う。

●司法書士さえき事務所 HP:https://www.sss-office.jp/

●Youtube動画チャンネル/司法書士さえき事務所:
https://www.youtube.com/channel/UCmkA1kopVK--BPytwnMaYcQ/

著者紹介

連載“筋肉系”司法書士が解説する「相続」と「登記」

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