(写真はイメージです/PIXTA)

寄与分とは、被相続人の財産の増加や維持に寄与した人に認められる、本来の相続分に上乗せされた取り分です。寄与分は遺言書があっても主張することはできるのでしょうか? 相続に詳しい、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が詳しく解説していきます。

寄与分が認められる条件とは?

寄与分についてのルールは、民法904条の2に定められています。これによれば、寄与分が認められる条件は次のとおりです。

 

共同相続人であること

民法904条の2に規定の寄与分の適用を受けるためには、特別の寄与をした人が、その相続での相続人であることが必要です。なお、相続人ではない人が特別の寄与をした場合には、後ほど解説する別の規定の適用を検討します。

 

特別の寄与であること

寄与分が認められるためには、「特別の」寄与をしたことが必要です。たとえば、同居している子が日常的に老親の身の回りのことを行ったり、体調がすぐれない際に病院へ連れて行ったりすることは、「特別」なこととまではいえないため、寄与分が認められない可能性があります。

 

改正で新設された特別の寄与と従来の寄与分との違いとは

従来、寄与分は民法904条の2の規定のみが存在していました。この規定は相続人のみが対象で、相続人以外の者の貢献があった場合、その人に寄与分が認められることはありませんでした。

 

そこで、2018年に成立した改正民法で、新たに1050条の特別の寄与の規定が創設されました。この規定では、無償で被相続人の療養看護などをして被相続人の財産の維持又は増加に寄与した相続人以外の親族が、相続人に対して「特別寄与料」の請求することができるとされています。

 

1050条の対象は「被相続人の親族」に限定されています。たとえば、内縁の妻は親族には該当しないため、いくら特別の寄与をしたとしても特別寄与料の請求は認められない点に注意しましょう。

「特別の寄与」が認めらえるパターン

特別の寄与には、次の類型があります。それぞれ、どのようなものが該当しうるか見ていきましょう。

 

被相続人の事業に関する労務の提供

被相続人の事業を無償で手伝った場合が、これに該当します。たとえば、被相続人の営む事業の営業活動を積極的に行い、その事業が成長した場合などです。

 

一方で、被相続人の事業に従事したとしても、通常どおり給料を受け取っていた場合には特別の寄与には該当しません。寄与をした分は、すでに給与の支払いで精算されていると考えられるためです。

 

財産上の給付

被相続人の営む事業に資金を提供した場合や、借金を肩代わりした場合などがこれに該当します。また、被相続人名義の家の修理費用を負担した場合や、被相続人が施設に入所する費用を代わりに捻出した場合にも、特別の寄与に該当する可能性があります。

 

この場合は、寄与分以前に、被相続人に対して資金を提供したのか、それとも資金を貸し付けたのかによって取り扱いが大きく異なりますので、まずはこの点を明確に整理する必要があるでしょう。

 

被相続人の療養看護

被相続人の療養看護をした場合にも、特別の寄与と認められる可能性があります。

 

しかし、これが認められるのはそれほど容易ではありません。特別の寄与というためには無報酬であることは大前提であり、そのうえで長期間、家族が通常行う程度を超えて看護や介護をしていることまで求められることが一般的です。

 

そもそも家族である以上は相互に扶養する義務があり、通常の介護や看護では「特別の寄与」とまではいえないと考えられるためです。たとえば、要介護認定を受けた親の介護を四六時中無償で行い、そのためヘルパーの依頼などでかかるはずであった費用がかからずに済んだような場合に、寄与分が認められる可能性があります。

 

その他

他にも、被相続人の財産管理をしたことで被相続人の財産の増加や維持に貢献をした場合にも、寄与分が認められる可能性があります。また、扶養義務者が複数いるにもかかわらず、一部の扶養義務者のみが長期にわたって扶養をしてきた場合にも、寄与分の対象となる場合があります。

 

特別の寄与に該当するかどうか迷った場合には、諦める前に一度弁護士へ相談されると良いでしょう。

 

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