密かに増税が決まっていた!活用期限迫る「金融所得課税」の有利選択【税理士の解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

昨年12月に発表された令和4年度税制改正大綱で、投資家・納税者にとって税金その他の負担が増えてしまうような改正事項が盛り込まれていました。それは、「上場株式等の配当等や譲渡所得に係る課税方式を所得税と住民税とで一致させる」(令和6年度分以後)というものです。税率が上がったり控除額が減るなどといった分かりやすい変更ではないため、「静かなる増税」とも言えるかもしれません。今回はその改正内容について、税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士が、特に相続した上場株式等の売却検討を意識しながら解説していきます。

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そもそも「課税方式の選択」とは?

上場株式等の配当等や譲渡所得については、確定申告をするかしないかによって納税者の選択により課税方式(申告不要制度、申告分離課税、総合課税)が異なることが想定される複雑な仕組みになっています(図表1)。 

 

(注1) 源泉徴収ありの特定口座にあるもの以外は申告分離のみ (注2) 大口株主(保有割合3%以上)は総合課税のみ (注3) 復興特別所得税を除く(以下同じ) (注4) 特定口座に配当を受け入れていた場合は、口座内で自動的に損益通算されるため申告不要とすることができる。 (注5) 配当金額×10%(課税所得金額が1,000万円超の場合は5%)が所得税額から控除されるもの
【図表1】課税方式の選択について (注1) 源泉徴収ありの特定口座にあるもの以外は申告分離のみ
(注2) 大口株主(保有割合3%以上)は総合課税のみ
(注3) 復興特別所得税を除く(以下同じ)
(注4) 特定口座に配当を受け入れていた場合は、口座内で自動的に損益通算されるため申告不要とすることができる。
(注5) 配当金額×10%(課税所得金額が1,000万円超の場合は5%)が所得税額から控除されるもの

 

平成29年度からは、所得税では「総合課税」、住民税では「申告不要」など、所得税と住民税でそれぞれ別々の課税方式を選択できることになっていました。

課税方式を選択するメリット…配当所得

たとえば、証券会社における特定口座(源泉徴収あり)に預けてある上場株式に係る配当や譲渡益については、証券会社がそれらに係る税金(所得税15%+住民税5%=20%)を源泉徴収し、納税手続きを代行してくれています。

 

そのため、納税者はその年終了後、1年間における配当や譲渡益について確定申告をしないことが可能です(申告不要制度)。

 

ただし、配当所得については、総合課税とすることにより税率が20%を下回る可能性があり、その場合には確定申告をすることで源泉徴収において過払いだった税金を取り戻すことができます。

 

具体的には、配当所得とその他の所得(給与所得など)を合計した課税所得金額が900万円以下であるとき、所得税と住民税とで異なる課税方式【所得税:総合課税、住民税:申告不要制度】を選択すると、両方申告不要とした場合の税率(20%)を下回る(5%、15%、18%)ことになるため確定申告をした方が有利ということになります(図表2)

 

【図表2】課税方式の選択シミュレーション

 

少々過払いであったとしても不慣れで煩わしい確定申告をしなくても済むのは申告不要のメリットですが、確定申告手続きに慣れていたり、還付税額が大きければ確定申告を行うだけの経済的メリットがあるということです。

 

また、後述しますが、国民健康保険料や高齢者の医療費自己負担割合等は住民税の所得金額をベースに算出されるため、住民税のみ申告不要を選択することは税金だけでなく社会保険料や医療費への影響がないという点でも大きなメリットになっています。

 

ちなみに、所得税と住民税とで異なる課税方式を選択するためには、これまでは税務署へ所得税の確定申告書を提出するのとは別に、市区町村へ住民税の申告書を提出する必要がありましたが、令和3年分からは所得税の申告書第二表の下段にある住民税に関する事項の欄で申告不要とする項目が設けられ、これに「O」を付けて提出することで、簡易的に選択ができるように(住民税の申告書は提出不要に)なりました(図表3)

【図表3】確定申告書例

 

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税理士法人ブライト相続 税理士

東京都杉並区出身。2012年、税理士法人レガシィ入社。200件超の相続税申告、相続税還付、税務調査対応、譲渡所得税申告、遺言書作成その他の相続対策コンサルティング業務など、数多くの資産税関連業務に従事。2019年、税理士法人ブライト相続入社。

著者紹介

連載実例で解説!相続専門税理士が教える「あなたに合った」相続対策

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