※画像はイメージです/PIXTA

税制改正のたびに「富裕層を狙い撃ち」というキーワードが踊りますが、本当に税制改正で富裕層は増税となったのでしょうか。相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が検証します。

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「令和4年度の税制改正大綱」注目すべきポイント

令和3年12月、与党は令和4年度の税制改正大綱を決定しました。ここ最近の新聞や雑誌を賑わせていた、相続税と贈与税の一体化については、結果的に見送られた形になっています。

 

しかし、税制改正大綱の中で、「第一 令和4年度税制改正の基本的考え方」の「2.経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」に、下記のような記載がありました。

 

 

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

 

あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

 

時期についてはまだ議論の余地はあるものの、近いうちに相続税と贈与税の分野で何かしらの改正が入ることは、ほぼ間違いないように見受けられます。

富裕層は「狙い撃ち」されているのか?

「格差の固定化防止」という言葉が税制改正大綱にも何度も出てきていますが、その観点からすると、単純に富裕層から多額の税金を取れば良い、という発想になるかもしれません。

 

それでは、富裕層は課税庁側からはたして「狙い撃ち」されているのでしょうか?

 

「狙い撃ち」をしたいけど、中途半端な状態が続いてしまっているのではないかと個人的には思います。結果的に税金を取れそうなところ、あまり大きな反対が無さそうな層からちょこちょこと中途半端に取っているように感じられます。

 

具体的には、ここ10年くらいの税制改正の中では、相続税の基礎控除額(非課税枠)の引き下げと、所得税の給与所得控除の縮小が分かりやすいかもしれません。

 

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