患者情報人質に身代金要求も…利便性の影に潜む「電子カルテ」の危うさ

電子カルテは便利な反面、サーバーダウンやウイルス感染など、システム面でのトラブルがしばしば発生すると、株式会社アリオンシステム代表取締役社長の山本篤憲氏はいいます。業務効率化のために電子カルテを取り入れている病院の事例から、医療現場における「システムトラブル」の恐怖をみていきましょう。

「電子カルテ」を病院のニュースタンダードへ

めまぐるしく制度が変わる環境で病院としての収益力を高めていくには、自院の強みと弱みをはっきりさせ、得意分野に経営資源を集中して効率化していくことが、長い目で見ても生き残るには効果的です。

 

そのような経営環境を構築するためにも、インフラとして不可欠なのが電子カルテといえるでしょう。

 

電子カルテは、病院経営の「今」を如実に表して分析に役立てられると同時に、導入すること自体が大幅なコスト削減の達成につながる可能性があります。もちろん、診療報酬改定の度に発生する現場の煩雑な作業も一気に削減が可能です。

 

ただ、そんな電子カルテにはそれでもなお導入がなかなか進んでいないという実態もあります。しかし、時代の流れを考えれば電子カルテを導入しないという選択肢はあり得ません。なんとなく遠ざけていた電子カルテについて理解を深め、前向きにとらえていく必要があると考えています。

過去に起こった電子カルテのトラブルが示すもの

「暗号化通信を使っているといっても、電子カルテのトラブルは過去何度かあったはず」という懸念をもった人もいるはずです。あってはならないこととはいえ、確かに不定期に何かしら電子カルテまわりのトラブルが起こっています。

 

ケース1.情報伝達不足が招いたトラブル

いつまで経っても会計に呼ばれず、診察を終えた患者が精算待ちスペースに溢れる……といったトラブルが近年起こりました。これは、この病院が採用していたオンプレミス型電子カルテをバージョンアップしたことが発端だといわれています。

 

古い電子カルテを新しいものに変えた際に、電子カルテの操作面にもいくつか変更箇所が出ました。その一つが会計処理に関係するものだったのです。

 

もちろん病院側は全職員を対象に操作説明会を開催し、事前に対策を講じていました。それでも誤った操作が頻発され、それを訂正することと訂正後の正しい情報で精算をやり直す作業に時間がかかり、会計待ちに長蛇の列が発生するトラブルが起こったとされています。

 

ケース2.不意のシステムダウン

オンプレミス型電子カルテシステムがダウンし、一時1000台に迫る病院各所の端末が使えなくなる事態が起こりました。

 

システムの不具合に職員が気づいたのが早朝5時半、それからすぐに病院内の情報システム室で対策を始めましたが、その甲斐なく外来受付が始まる8時頃にシステムは完全にダウンしてしまいました。

 

電子カルテがダウンしたということは、これまで画面上ですべて表示されていたレントゲンなどの検査画像、採血結果などを検察室まで取りに行かなくては患者に見せることができなくなったということです。

 

この結果急遽発生した非効率な状況のもと、病院側はあらかじめ外来患者に診察に時間がかかる旨を伝え、了承した人を対象にこの日の診療を始めました。

 

その間も必死の復旧作業は続きましたがシステムはいっこうに復調せず、仮サーバーを手配してトラブル直前までのデータをこれに移行することで、ようやく電子カルテ利用再開のめどをつけることができました。

 

後日明らかになった原因は、サーバーを導入した際の初期設定のミスでした。正しい設定に書き換えた正式なサーバーに仮サーバーへ一時移動したデータなどを移し替え、ようやくトラブルはおさまったといいます。

 

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    株式会社アリオンシステム 代表取締役社長

    1951年生まれ。広島県湯来町出身。
    1974年、岡山理科大学卒。同年、富士通株式会社入社。
    システムエンジニアとして、製造・大学・官公庁顧客を担当する。
    システム部長を経て2002年9月退社。

    2003年8月、株式会社アリオンシステムを設立、代表取締役社長に就任する。
    従来の人間関係を当てにせず、
    「新規開拓できなければ会社の発展はない」というモットーのもと飛び込み営業、
    口コミで顧客を増やした。

    2006年2月、LLPインキュベーションセンター岡山ニテラスを仲間と立ち上げ、
    2007年から2012年3月まで岡山県立大学客員教授を務め、
    2009年3月、岡山県「おかやまITマイスター」に認定されるなど、地元岡山に貢献している。

    さらに、2021年福岡県直方市からIT企業の誘致依頼があり、
    同年4月に直方営業所を開設し、直方市と連携し同市へのDX化への展開を図っている。

    著者紹介

    連載病院経営者必見!病院を発展・黒字化させる「電子カルテ」のススメ

    ※本連載は、山本篤憲氏の著書『病院を発展・黒字化させる 電子カルテイノベーション』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    病院を発展・黒字化させる 電子カルテイノベーション

    病院を発展・黒字化させる 電子カルテイノベーション

    山本 篤憲

    幻冬舎メディアコンサルティング

    日本の病院の約4割は慢性的な赤字経営に苦しんでおり、高い人件費率がいちばんの原因になっています。その解決策として挙げられるのが、電子カルテの導入による業務効率化ですが、中小病院の約6割がいまだ導入に踏み切ることが…

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