「電子カルテ」を病院のニュースタンダードへ
めまぐるしく制度が変わる環境で病院としての収益力を高めていくには、自院の強みと弱みをはっきりさせ、得意分野に経営資源を集中して効率化していくことが、長い目で見ても生き残るには効果的です。
そのような経営環境を構築するためにも、インフラとして不可欠なのが電子カルテといえるでしょう。
電子カルテは、病院経営の「今」を如実に表して分析に役立てられると同時に、導入すること自体が大幅なコスト削減の達成につながる可能性があります。もちろん、診療報酬改定の度に発生する現場の煩雑な作業も一気に削減が可能です。
ただ、そんな電子カルテにはそれでもなお導入がなかなか進んでいないという実態もあります。しかし、時代の流れを考えれば電子カルテを導入しないという選択肢はあり得ません。なんとなく遠ざけていた電子カルテについて理解を深め、前向きにとらえていく必要があると考えています。
過去に起こった電子カルテのトラブルが示すもの
「暗号化通信を使っているといっても、電子カルテのトラブルは過去何度かあったはず」という懸念をもった人もいるはずです。あってはならないこととはいえ、確かに不定期に何かしら電子カルテまわりのトラブルが起こっています。
ケース1.情報伝達不足が招いたトラブル
いつまで経っても会計に呼ばれず、診察を終えた患者が精算待ちスペースに溢れる……といったトラブルが近年起こりました。これは、この病院が採用していたオンプレミス型電子カルテをバージョンアップしたことが発端だといわれています。
古い電子カルテを新しいものに変えた際に、電子カルテの操作面にもいくつか変更箇所が出ました。その一つが会計処理に関係するものだったのです。
もちろん病院側は全職員を対象に操作説明会を開催し、事前に対策を講じていました。それでも誤った操作が頻発され、それを訂正することと訂正後の正しい情報で精算をやり直す作業に時間がかかり、会計待ちに長蛇の列が発生するトラブルが起こったとされています。
ケース2.不意のシステムダウン
オンプレミス型電子カルテシステムがダウンし、一時1000台に迫る病院各所の端末が使えなくなる事態が起こりました。
システムの不具合に職員が気づいたのが早朝5時半、それからすぐに病院内の情報システム室で対策を始めましたが、その甲斐なく外来受付が始まる8時頃にシステムは完全にダウンしてしまいました。
電子カルテがダウンしたということは、これまで画面上ですべて表示されていたレントゲンなどの検査画像、採血結果などを検察室まで取りに行かなくては患者に見せることができなくなったということです。
この結果急遽発生した非効率な状況のもと、病院側はあらかじめ外来患者に診察に時間がかかる旨を伝え、了承した人を対象にこの日の診療を始めました。
その間も必死の復旧作業は続きましたがシステムはいっこうに復調せず、仮サーバーを手配してトラブル直前までのデータをこれに移行することで、ようやく電子カルテ利用再開のめどをつけることができました。
後日明らかになった原因は、サーバーを導入した際の初期設定のミスでした。正しい設定に書き換えた正式なサーバーに仮サーバーへ一時移動したデータなどを移し替え、ようやくトラブルはおさまったといいます。
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